私的京都議定書始末記(その42)

-最後の「二押し」とカンクン合意の採択-


国際環境経済研究所主席研究員、東京大学公共政策大学院特任教授

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 AWG-KP、AWG-LCA、CMP、COPと議事を進めるたびにボリビアは名札をあげ、「自分たちはこの合意案を拒否する。採択するためのコンセンサスがない」と主張した。エスピノーザ議長は「ボリビアの意見はテークノートし、議事録にも残す。しかし圧倒的な支持(overwhelming support)に対する拒否権(veto)はどこの国も持っていない」として次々に結論文書を採択していった。2010年の初め頃、デ・アルバ大使を訪問した際、「コンセンサスは必ずしも全員一致(unanimity) を意味するものではない」と言っていたことを思い出していた。

 盛大な拍手のうちに全ての議事が終了したのは午前3時過ぎであった。経産省作業室に戻り、日本への報告その他の後始末を行って部屋を出たのは明け方になっていた。共に戦った小林出交渉官と共に明け方のプールサイドのレストランで朝食をとった。2人で交渉の各局面を振り返りながら、あれこれ話をしたが、最後の2日間はほとんど寝ていない。何よりもゆっくり眠りたかった。カンクンを夜に出る前、少しだけリゾートホテルを楽しむ時間はありそうだった。

ムーンパレスの夕暮れ

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