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エネルギー基本計画に原子力をどう位置づけるか
原案の重要ポイントと解決すべき三つの課題


国際環境経済研究所前所長


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計画に記された
原子力関連のポイント

 まず、「意見」の形を取ったエネルギー基本計画原案のなかで、原子力はどのように扱われているかを見てみよう。原案のさまざまな場所で原子力関連の記述がなされているが、そのうち重要なポイントを挙げると以下のようになる(下線は筆者)。

*  *

(一次エネルギーとしての原子力の)位置付け

 燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に引き続き活用していく、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源である。

政策の方向性

 原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。その方針の下で、我が国のエネルギー制約を考慮し、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全確保のために必要な技術・人材の維持の観点から、必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する。

 安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、独立した原子力規制委員会によって世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で安全性が確認された原子力発電所については、再稼動を進める。

(中略)

 さらに、原子力利用に伴い確実に発生する使用済核燃料は、世界共通の悩みであり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を着実に進めることが不可欠である。」

(中略)

核燃料サイクル政策の着実な推進

 我が国は、ウラン資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としている。

(中略)

 核燃料サイクルについて、これまでの経緯等も十分に考慮し、関係自治体や国際社会の理解を得つつ、引き続き着実に推進する。

 こうした核燃料サイクルに関する諸課題は、短期的に解決するものではなく、中長期的な対応を必要とする。また、技術の動向、エネルギー需給、国際情勢等の様々な不確実性に対応する必要があることから、政策・対応の柔軟性を高めることが重要である。特に、今後の原子力発電所の稼動量とその見通し、これを踏まえた核燃料の需要量や使用済燃料の発生量等と密接に関係していることから、こうした要素を総合的に勘案して進める。」

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予想される政府と世論の脱原発の声
最終決定で原案はどう修正されるか

 こうした原案に対して、予想されたとおり、政治プロセスに時間がかかっていると言われている。自民党のなかにも原子力発電の活用や核燃料サイクル政策についての反対論が存在するほか、特に公明党はそのマニフェストから見ても、原子力にはより慎重だ。

 またパブリックコメントでも脱原発についての意見は多数寄せられるだろう。そのうえ、ここ最近急に浮上したのが、都知事選における争点としての脱原発である。こうした政治的な背景を抱えるなか、最終的に政府で決定される内容が、この原案(特に上記の下線部分)とどのように異なった表現になるのかが注目されるところである。



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