四季折々、七変化?-季節で変わるPM2.5


Research Committee on PM2.5 and Its Current Status

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 さてPMの濃度は一年の中で一定なのでしょうか? それとも何らかの原因によって変化するのでしょうか? また、近年PMの濃度はどのように推移してきたのでしょうか? 今回はPMの濃度の季節変化、ならびに経年変化についてお話ししたいと思います。

 図1は東京・九段における約10年間のPM化学成分の平均季節変化を示しています。PM濃度は、気象的な要因と光化学反応により季節変化が見られます。冬季は光化学反応が起こりにくい反面、地面温度が低く、太陽熱輻射(ふくしゃ)も弱いために空気の対流が弱くなり安定することが多くなります(接地逆転層の形成)。その結果、地表から排出される汚染物質が澱んで高濃度化しやすくなります。夏季は空気が活発に対流し、PM濃度の低い上層の大気と混合されるため濃度が低下する反面、光化学反応により生成する二次粒子により濃度増加が考えられます。 
 微小粒子の季節変化は、質量濃度では(a)に示すように11月から2月にかけて高くなりました。ただし近年ではこの冬季の高濃度の出現は少なくなっています。
 PM化学成分の季節変化の主な特徴としては、冬季にEC、OC、NO3、 NH4+が高い傾向を示します。ECとOCが冬季に高くなる原因として、接地逆転層による澱みが考えられます。NO3が夏季に低くなる原因は高温のためガス状の硝酸に留まるためです。夏季にはSO42-が高くなりますが、これは強い日射の光化学反応により生成するためと考えられます。
 このようにPMの濃度は一年の中で変化していますが、その原因は多岐にわたり一定ではありません。

 また、PMの経年変化に関してですが、図2はSPMとPM2.5の年平均濃度の変化で、自動車排出局(自排局)や都市部の一般大気測定局(一般局)では低下傾向が見られます。
 特に、 SPMとPM2.5の両方とも自排局での測定結果は2000年以降、顕著な濃度低下が見られます。一方PM2.5の発生源が少ないと見られる非都市部のPM2.5は環境基準である15μg/m3付近で横這いになっています。これは自動車等の国内における人為起源からのPM排出量の低減により都市部のPM濃度が年々低下傾向となったと考えられるものの、今後は移流等を含んだバックグラウンド濃度も含めた挙動の解析が必要であることを示唆していると考えられます。

図1 粒子成分の季節変化
(東京・九段、1997~2005年の平均、アンダーセンサンプラーを用い、粒径2.1µm以下を微小粒子として2週間ごとに採取した。なおサンプリング期間内の揮発は考慮していない)
(出典:Minoura et al., 2007, International Symposiumon Ambient Air Particulate Matter Techniques
and Policies for Pollution Prevention and Control)

図2 日本のSPMとPM2.5濃度の経年変化(SPMは全国の継続測定局の平均値)
中央環境審議会大気環境部会, 微小粒子状物質環境基準専門委員会報告, p.4-36, 2009年9月
(PM2.5はTEOM 50℃での測定結果)

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