たかがレジ袋されどレジ袋?


消費生活アドバイザー

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 前回のブログにて、レジ袋の有料化についての記事を書きましたが、ちょっと気になるニュースがありましたのでご紹介したいと思います。
 
 「長野県ではこの春からレジ袋の無料配布の中止を全県一斉実施で進めていましたが、これを断念し、地域を分けてレジ袋の無料配布の中止の実施に向けて動いている」

 記事元 産経ニュース:
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130306/ngn13030602230000-n1.htm

 個人的な感想としては、賛成半分、反対半分といったところでしょうか。

 前回のブログでもご紹介しました通り、スーパーのレジ袋の利用には3通りあります。

1.
エコバッグのあるなしに関わらず、タダ。
2.
レジ袋は無料だが、エコバッグ持参で、ポイントの付与や現金割引が受けられる。
3.
レジ袋は有料、エコバッグ持参でも特典なし。

 これから考えれば、1のスーパーでは、レジ袋をもらう、2,3のスーパーではエコバッグを持参する。これが、一般的なもらいかたの考えかたでしょう。
 
 これは消費者の選択とも言えますので、これを行政が半ば強制的に中止をすることは、消費者にとって不利益を与えることにもつながりかねません。確かにレジ袋を削減すれば、それだけエネルギーを節約することができるかも知れません。しかし、レジ袋を有料化されると困ることもあります。前回も書きましたが、それはやはり「ゴミ袋」ではないでしょうか。
 レジ袋=ゴミ袋にすっかり慣れ親しんでいる者にとって、改めてゴミ袋を購入するのも何だかもったいない気がするのも一理あるでしょう。
 仮にゴミ袋が有料の地域だとしても、レジ袋に詰めてから有料のゴミ袋に入れると、その分強度が増して破れにくくなり、圧縮してから詰めることができるので、より多くのゴミを入れることもできますから、有料ゴミ袋だからと言って、必ずしもレジ袋が不要というわけでもなさそうです。
 考えてみると、レジ袋もそれぞれにサイズがあり、大、中、小とそれぞれに用途を分けて使っていることにも気づかされます。レジ袋が有料化になったとしても、安くてすぐに穴の空くようなゴミ袋を買うくらいなら、たくさん商品を購入する際に、複数枚のレジ袋を買った方が安上がりであると考えるのは当然のことではないのでしょうか。無料での配布が中止になれば、こういったレジ袋の買い分けをするようになると考えられます。そういった意味では、ある一定の抑制効果は期待できるでしょう。
 
 そしてまた、地域ごとによってレジ袋がもらえるエリアとそうでないエリアがあるのであれば、車で移動する距離を少しでも伸ばしてでもレジ袋が無料でもらえるエリアへ買い物に行きたくなるのも消費者心理でしょう。そうなってしまえば、それこそガソリン代のムダですし、CO2の削減に効果があるとも考えにくくなります。また、エコバッグとの併用で、もらうレジ袋の量がコントロールされていて、レジ袋=ゴミ袋になっているなら、新たにゴミが増えるわけではない。ゴミ問題で考えるなら、レジ袋が野外に捨てられることが少なくなるという意味で効果が期待できるのではないかと思います。
 
 とは言うものの、レジ袋が無かった一昔前までは、買い物カゴを持って買い物へ行くのが当たり前でしたから、無料配布がなくなれば、エコバッグ所持率が上がり、レジ袋削減の効果は期待できそうです。そして更に、こうした活動の中で、レジ袋以外にも環境意識が高まれば、それはそれで意義のあることでしょう。しかし、それだけで終わってしまうのは、行政側の自己満足にも思えてきます。その後に続く活動にもつなげていかなければ、トータルでの環境問題は解決できないでしょう。

 結局のところ、レジ袋の無料配布の中止=レジ袋の有料化ですから、その売り上げは事業者のもので、負担は消費者。
 環境問題について、行政、事業者、消費者それそれの立場で、できることを取り組む姿勢が本来の姿ならば、行政側が上からの立場で強制させることは、この場合違うのではないかと考えることもできるでしょう。

 ある激安スーパーでの話しですが、レジ前に「低価格維持のため、袋はご持参くださいますようお願い申し上げます。」大1枚6円(税込6円30銭)の表示がありました。このように潔く消費者に示してくれたら、消費者としても納得が行くかと思います。もちろん、そのスーパーは多くのお客様で賑わっていました。そして、多くの方がエコバッグと食材を手に店を出ていました。消費者の心理は半分以上はゲンキンな部分で占められているのではないかと考えられますので、何かお得を付けることが、グリーンコンシューマーまでは行かない、一般消費者を取り込むためには効果的なのではないかと思います。

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