2012年11月のアーカイブ
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2012/11/30
国連気候変動枠組み交渉の転換点
-京都議定書型枠組みの限界と今後の方向性-1997年に開催された国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)で採択された京都議定書は、我が国の誇る古都の名前を冠していることもあり、強い思い入れを持っている方もいるだろう。先進国に拘束力ある排出削減義務を負わせた仕組みは、温暖化対策の第一歩としては非常に大きな意義があったと言える。しかし、採択から15年が経って世界経済の牽引役は先進国から新興国に代わり、国際政治の構造も様変わりした。 続きを読む
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2012/11/30
温暖化交渉:COP18を越えて、日本が取るべき交渉スタンスを考える
今年のCOP18は、国内外ではあまり注目されていない。その理由は、第一に、日本国内はまだ震災復興が道半ばで、福島原発事故も収束したわけではなく、エネルギー政策は迷走している状態であること。第二に、世界的には、大国での首脳レベルの交代が予想されており、温暖化交渉での大きな進展は望めないこと。最後に、京都議定書第二約束期間にこだわった途上国に対して、EUを除く各国政府の関心が、ポスト京都議定書の枠組みを巡る息の長い交渉をどう進めるかに向いてきたことがある。 続きを読む
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2012/11/29
混迷する英国のエネルギー政策(2)
-連立与党内の対立、そして妥協の成立へ-英国のエネルギー政策をめぐる政府部内の対立は、オズボーン財務大臣対デイビー・エネルギー気候変動大臣の対立のみならず、連立与党である保守党対自民党の対立でもあった。9月の内閣改造で保守党からエネルギー担当閣外大臣に就任したジョン・ヘイズ議員が風力に懐疑的な発言を繰り返し、上司であり、自民党出身のデイビー・エネルギー気候変動大臣を激怒させたのは前回紹介した通りだ。 続きを読む
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2012/11/28
再生可能エネルギーは貿易戦争の新たな具か
さる11月5日、中国がEUとそのメンバー国を相手取りWTO(世界貿易機関)ルール上の紛争処理(いわゆる裁判)手続を開始したとWTOが発表し、翌日以降ワシントンポスト等が報道を行った(注1)。その発表内容等によれば、EUメンバー国内の固定価格買取制度に関する再生可能エネルギー発電セクター政策に対して中国が国際貿易ルール違反として訴えるらしい。もちろんこれには伏線があるようだ。 続きを読む
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2012/11/27
第7話(2の2)「ポスト『リオ・京都体制』を目指して(その2)」
2.日本の提案:「世界低炭素成長ビジョン」
将来枠組みの構築に向けた国連交渉への取り組みとあわせ、日本が提案し、様々な形で具体化を進めているのが、「世界低炭素成長ビジョン」である(図表7-3参照)。
これは、国連交渉における新たな法的枠組みの構築と並行して、より実際的な地球温暖化対策として、技術、市場、資金を総動員しながら、世界全体をCO2排出を増やさない形での経済成長、「低炭素成長」に導いていこうというものである。 続きを読む -
2012/11/27
今あえて言う、「がんばれ、東電」
東電は叩かれてきた。昨年の福島第一原発事故以降、東電は「悪の権化」であるかのように叩かれてきた。旧来のメディアはもちろん、ネット上や地域地域の現場でも、叩かれてきた。その結果、昨年から今に至るまで、1000人近くの東電社員が社を去った。 続きを読む
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2012/11/26
第4回 トヨタ白川郷自然學校
今回お邪魔したのはトヨタ白川郷自然學校。その名の通り、合掌集落の神秘的な風景とそれを支える“結”の精神が息づく世界文化遺産の白川郷に立地し、その歴史・自然・伝統文化を体感できる宿泊施設です。紅葉を楽しむには少し遅い晩秋、富山空港経由、東京からほぼ3時間程度の道のりで、まったく異次元の景色が広がる白川村に到着しました。 続きを読む
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2012/11/22
第7話(2の1)「ポスト『リオ・京都体制』を目指して(その2)」
本年の気候変動交渉もいよいよ佳境を迎え、今月26日からカタールのドーハでCOP18が開催される。
第7話では、今後の国際交渉において日本が目指すべき新たな国際枠組み像について若干の検討を試みることとしたい。
ここでは、COP17でのダーバン合意を受けて現在行われている、将来枠組みを巡る議論とも大いに関連する論点が含まれている。そして、その多くは現行の「リオ・京都体制」の抱える問題点からの教訓に基づく。 続きを読む -
2012/11/20
ガスの節約術 その2
前回は、浴室のガスの節約についてのお話をしました。次にガスを使う場所と言えば、キッチンではないかと思います。お料理をする際もちょっとした気遣いが節ガスにつながります。 続きを読む
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2012/11/19
第6回 東京ガス株式会社 エネルギー企画部 スマートエネルギーネットワーク推進プロジェクト室 室長 菱沼祐一氏
コージェネが核となるスマートエネルギーネットワークの挑戦第6回目にご登場いただくのは、東京ガス株式会社エネルギー企画部スマートエネルギーネットワーク推進プロジェクト室室長の菱沼祐一氏です。スマートエネルギーネットワーク実証事業について等、ガス事業者として今後のエネルギー戦略について率直なお話を聞きました。インタビュー前には、スマエネ実証試験場の千住テクノステーションも見学させていただきました。 続きを読む
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2012/11/16
混迷する英国のエネルギー政策(1)
-低炭素化と国民負担と-英国のエネルギー政策をめぐる政府部内の対立が激化している。今日のFTでは Ministers clash over energy bill という記事が出ていた。今月、議会に提出予定のエネルギー法案をめぐって財務省とエネルギー気候変動省の間で厳しい交渉が続いている。議論の焦点は原子力、再生可能エネルギー等の低炭素電源に対してどの程度のインセンティブを許容するかだ。 続きを読む
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2012/11/15
ガスの節約術 その1
暑かった夏も過ぎて、少しずつ秋が深まってきましたね。気温が下がると逆に上がりやすくなるのが光熱費。特に水温が下がるとガス代が上がりますので、ガスは賢く利用したいものです。
今回はガスの節約方法をご紹介したいと思います。 続きを読む -
2012/11/14
核燃料サイクル対策へのアプローチ
原子力問題の本丸—バックエンド問題
原子力問題のアキレス腱は、バックエンド(使用済核燃料への対応)にあると言われて久しい。実際、高レベル放射性廃棄物の最終処分地は決まっておらず、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」はトラブル続きであり、六ヶ所再処理工場もガラス固化体製造工程の不具合等によって竣工が延期に延期を重ねてきている。 続きを読む
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2012/11/13
第6話(3の3)「ポスト『リオ・京都体制』を目指して(1)」
3.気候変動問題対処のためのグローバル・ガバナンス:3つの視点
それでは、「リオ・京都体制」の経験、教訓を踏まえながら、どのようなグローバル・ガバナンス、国際枠組みを構築していくべきか。
まずは、環境・気候変動問題を規律する国際枠組みを考えるにあたり、必要と思われる3つの視点について触れることとする。 続きを読む -
2012/11/12
第5回(後編)日本製紙連合会 技術環境部 専任調査役 池田直樹氏/株式会社日本製紙グループ本社 技術研究開発本部 エネルギー事業部長 野村治陽氏
製紙業界の循環型社会と創エネへの貢献。電力自由化に向けた動きも加速今回も引き続き、日本製紙連合会技術環境部専任調査役の池田直樹氏と株式会社日本製紙グループ本社技術研究開発本部エネルギー事業部長の野村治陽氏のおふたりに、鼎談の形で製紙業界のエネルギー戦略についてお話を聞きました。これまでの製紙業界の事業のあり方が転換期を迎えています。時代の変化を前向きに捉え、電力自由化の流れにも業界としての積極的な姿勢が伺えます。
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2012/11/09
第6話(3の2)「ポスト『リオ・京都体制』を目指して(1)」
2.「リオ・京都体制」の限界:主要国の問題と日本の課題
20年前の1992年のリオ地球サミットで採択された国連気候変動枠組条約。その5年後の1997年のCOP3で採択された京都議定書。この2つの条約が、気候変動問題を規律する国際的枠組みを構成している。
日本では、自国で開催された国際会議で採択された京都議定書にもっぱら注目しがちである。昨年のCOP17の際には、京都議定書の下での数値目標の義務を日本が引き続き受け入れるか否かの問題を報ずる中で、一部のメディアで「京都体制」なる表現もみられた。 続きを読む -
2012/11/08
第5回(前編)日本製紙連合会 技術環境部 専任調査役 池田直樹氏/株式会社日本製紙グループ本社 技術研究開発本部 エネルギー事業部長 野村治陽氏
製紙業界の循環型社会と創エネへの貢献。電力自由化に向けた動きも加速第5回目にご登場いただくのは、日本製紙連合会技術環境部専任調査役の池田直樹氏と株式会社日本製紙グループ本社技術研究開発本部エネルギー事業部長の野村治陽氏です。今回は、鼎談の形でおふたりに製紙業界のエネルギー戦略についてお話を聞きました。これまでの製紙業界の事業のあり方が転換期を迎えています。時代の変化を前向きに捉え、電力自由化の流れにも業界としての積極的な姿勢が伺えます。
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2012/11/07
第6話(3の1)「ポスト『リオ・京都体制』を目指して(1)」
第5話までは、外からは見えにくい気候変動交渉について、少しでも臨場感を持って理解してもらうため、COPの交渉現場での議論と日本の対応に焦点をあてて論じてきた。
「武器無き戦争」に臨む以上、それに勝つ(少なくとも負けない)事は重要である。そのための様々な戦術行動についても、これまでに触れた。しかし、それだけに終わってはならない。 続きを読む -
2012/11/06
持続可能という言葉を知らない枝野経産大臣
「持続可能な発展(Sustainable Development)」という言葉が広く知られるようになったのは、温暖化問題を通してだろう。持続可能とは、簡単に言うと、将来世代が、我々が享受している生活水準と少なくとも同レベル以上を享受できることと解釈される。数字で表すと、一人当たり国内総生産(GDP)が同レベル以上になるということだ。 続きを読む