クルマはどこまでエコになるか?
小林 茂樹
中部交通研究所 主席研究員
自動車の効率改善はどの程度可能なのか?
長期的な対策も含めて、将来の改善の可能性をCO2の削減量で見たのが、下の図である。欧州で人気のディーゼル車はガソリン車に比べて15~30%のCO2削減が可能である。また、ハイブリッド化は技術が多様で幅はあるが、30~50%と高い削減率が期待できる。
長期的な対策と考えられる電気自動車や燃料電池車も削減率は高いが、いずれもそのエネルギー源に大きく依存する。電気自動車では、充電のための電気がどのようにして発電されたかに左右され、もし石炭火力が主体で発電されていれば、ハイブリッド車よりもCO2排出量が増える結果になる。同様に燃料電池車の場合は、水素を現在の主流である天然ガスからの製造に頼ると削減率は低く、また現状の日本の平均的な電気を利用した水電解で製造すれば、やはり、ハイブリッド車よりCO2排出量が増える結果になる。
ここでは詳細の検討はしないが、バイオ燃料の使用もCO2の削減には有効である。ただ、バイオ燃料に関しては、大量に生産することになった時点で、その原料栽培の土地をどのように確保するかが大きな問題となってくる。現在の主流である食糧を原料として製造すれば、食糧との競合や価格高騰などが危惧される。また、森林のようにCO2を多く固定している場所を耕地に変換するとしたら、土地利用の変化によるCO2排出が非常に大きく、車でのバイオ燃料利用のメリットを完全に打ち消し、むしろ増加になってしまうことが懸念される。日本では、バイオ燃料を大量導入しようとすると、かなりの量を外国からの輸入に頼ることになると思われる。その際に、生産国での製造が環境破壊などの問題につながっていないかを明確にする、透明性の高い制度を作っておくことが重要である。