再生可能エネルギーは原発を代替できるか


国際環境経済研究所主席研究員、JFEスチール 専門主監(地球環境)

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 東日本大震災が引き起こした福島の原子力発電所事故は、東日本地域に深刻な電力供給不足を引き起こした。春先の計画停電、この夏の電力使用制限措置の発動など、さまざまな社会的混乱をよび、経済活動にも深刻な影響をもたらすことが懸念されている。

 津波の影響で被災・停止中の火力発電所については、相当な時間がかかるものの早急に補修され、順次立ち上がっていくものと想定される。しかし、すでに廃炉を決めている福島第一原発1~4号炉(3月30日勝俣恒久東京電力会長会見での方針)に加え、被害が少なかった5、6号炉や、福島第二原発1~4号炉については、原発事故が周辺地域に与えた放射性物質による汚染や、長期の退避生活を余儀なくされた周辺住民の感情を考えても、当面、稼働再開は難しく、短中期的な電力供給に供することは事実上考えにくい事態となっている。

 福島第一原発、第二原発の発電能力は910万kW(わが国の総原子力発電能力の約18%。原子力発電の総電力供給量に占める割合が2009年度で約29%であるから、わが国の総供給量の5%強が喪失する計算になる)と非常に大きい。これが事実上、恒久的に喪失する東日本における電力の供給不足は、安全性見直しによる全国の他の原発の稼働率低下の影響も考慮すると、わが国の中長期的なエネルギー供給体制の大幅な見直しを迫ることになる。

 こうした事態を受けて国内外でさまざまな分析が行われている。米ブレークスルー研究所(米カリフォルニア州にあるエネルギー・気候変動問題を専門に扱うシンクタンク)が興味深い論考をホームページに公開しているので、ここで紹介していきたい。