50年後を見据えた世界のエネルギー・気候変動問題の解決策を


国際エネルギー機関事務局長(※論考掲載時 現・(財)日本エネルギー経済研究所特別顧問)

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日本企業にとって、またとないチャンス

 地球温暖化対策における日本の役割ですが、世界のCO2排出に占める割合は4%にすぎず、日本そのものの排出削減ポテンシャルは小さいうえに割高です。しかし、得意とする低炭素技術の開発・普及を通じた世界の排出削減への貢献は計り知れません。IEAは、昨夏の「エネルギー技術展望2010」で、450シナリオをさらに2050年まで伸ばし、今後新たに開発する技術を含めた長期の道筋を示しました。この達成には、46兆ドルの追加的な投資が必要と分析しています。

 これは最先端の省エネ・環境技術を有する日本企業にとって、またとないビジネスチャンスです。エネルギー需要の伸びが著しい中国やインド、太陽熱発電のポテンシャルが大きい北米大陸や北アフリカなど、これから新たな技術が新たな市場を生んでいきます。優れた製品に留まらず、システムをコーディネートする力も磨きながら海外に展開していく戦略を果敢に進めていくべきではないでしょうか。

 エネルギーと地球温暖化問題は、人類に突き付けられた課題ですが、知恵と行動により、次の発展段階に至る糸口になるものです。IEEIが、質の高い政策や技術にかかる議論や提言を内外に発信し、50年後の世界の繁栄の基礎作りに貢献されることを願っています。

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