今回の震災が残した教訓を踏まえて電力システムの改革を行っていくことは重要であるが、エネルギー・電力は国の安全保障の根幹であることを忘れてはならない。今回の震災の結果、国の原子力政策は大きく揺らいでいる。日本の原子力政策はいわゆる「国策民営」で進められてきたが、実際には事故賠償などについて国の法的な責任が明確ではないことが今回明らかになった。今後の原子力の進め方について、官民のリスクや責任分担について一定の方向性を出すことなしに、電力供給システム改革の議論を進めても意味はない。その点、現在の政府における議論の進め方は原子力とその他の問題が一括して扱われておらず、問題の検討体制として不十分かつ不適切ではないかと思料する。 当研究会では、電力システム改革を議論するにあたって、押さえるべきポイントを今後何回かに分けて整理してみたい。(電力改革研究会)
Npo法人 国際環境経済研究所