地球温暖化への取り組み(一般社団法人 日本化学工業協会)
一般社団法人 日本化学工業協会
Japan Chemical Industry Association
一般社団法人 日本化学工業協会(以下、日化協)では、化学産業における目指すべきカーボンニュートラルとは、地中の炭素をこれ以上消費せず、現在地表にある炭素を上手に循環利用することと考えています。一方、化学産業は製造時に多量のエネルギーを使用しておりますので、製造時のCO2排出量を減らす取り組みも、同時に行っていくことが必要です。
日化協ではこの考えをまとめ、2021年5月に「カーボンニュートラルへの化学産業としてのスタンス」として公表しました。このスタンスでは、「化学産業自らのGHG排出削減」と「製品・サービスを通したGHG排出削減貢献」を骨子としています。
「化学産業自らの排出削減」の取り組みとしては、主にエネルギー転換と、炭素循環を含む原料転換を進めることとしております。特にCO2削減については、経団連のもとで取り組んでいる「経団連カーボンニュートラル行動計画」において、2050年CN実現に向けた2030年度CO2排出削減目標を2013年度比で32%削減(CO2を2,000万t削減)としました。
一方、「製品・サービスを通した排出削減貢献」では、グリーンエネルギーの創出に必要な素材・技術や軽量化、長寿命化、高効率化を実現する製品を提供し、その製品・サービスがユーザーに使用されることによって、GHG排出を削減することを目指しております。
CN達成のためには、社会全体でその負担を担っていくことが必要であり、その仕組みを構築する基盤として環境負荷の可視化、評価方法や算定ルールなど手法の整備に取り組んでいます。その一つが、カーボンフットプリント(CFP)への取り組みです。CFPは製品・サービスに関するCO2排出量を、資源採掘から原材料の調達、製造、加工、流通、さらには廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で定量的に把握する手法であり、足下のCO2排出の構造を把握するために有効な手法です。日化協では、化学産業各社が自社製品のCFP算定を行う際の基盤となる文書を目的として2023年3月に「化学産業における製品のCFP算定ガイドライン」を作成し公開しました。
さらに、炭素循環への転換を目指す化学産業にとって、炭素を含む幅広い資源を幅広い製品の原料に戻すことができ、循環ループを作ることができるケミカルリサイクル(CR)は重要であり、日化協では、あらゆる炭素源を活用すべく幅広い化学製品を循環させるCRのコンセプトのもと、CRに関する国際規格(ISO)の開発、認証制度の開発にも取り組んでいます。