気候変動に関する問題報道

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監訳 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 杉山大志 訳 木村史子

本稿は、Institutional Alarmism: The BBC’s Disastrous Climate Complaints Paul Homewoodを、Net Zero Watchの許可を得て翻訳したものである。

【はじめに】

 BBCは、その報道の多くの分野でしばしば偏りがあると非難されてきた。その中でも特に際立っているのが、気候変動に関する報道である。2006年、BBCは非公開のセミナーを開催し、それが地球温暖化に関するBBCの報道の方向性を形作った。このセミナーの詳細は、何年もの間、何万ポンドもの費用を投じたにも関わらず、非公開とされてきた。結局、28gateとして知られるスキャンダルの中で、出席者にはグリーンピースのメンバーなどグリーン活動家や、気候破局説の強力な支持者が含まれていたことが明らかになった。一方で、懐疑派の出席はなかった。

 それ以来、気候変動やエネルギー政策に関するBBCの報道は、グリーンピースやWWFのような極端なグリーン活動家団体を過度に目立たせる一方で、コンセンサスに同意しない人物を排除・疎外するのが常態となった。

 BBCの環境レポーターたちは、彼ら自身が推進派であるに過ぎず、公平とはいえない。BBCの首席ジャーナリストであるロジャー・ハラビンは最近、「説教台にふさわしい凶事の予言者」だと非難されている注1)。実際、環境担当のスタッフ全員がまるで不正をしていて、公平性に関する会社の規則が自分たちに適用されるとはもはや思っていないように見えることもある。

 この明らかに偏った報道は、当然ながら環境問題に関して多くの異議申し立てを招き、そのうちのいくつかは受理されている。そのうちの多くは事実誤認に関するもので、その他は偏見や代替的見解の欠如に関するものである。

 多くの記事や番組が正規の申し立てなしに流されているが、それらは同様に偏っていて、誤解を招くものである。本稿では、その一部を紹介する。

 本稿は、政府が近々実施するBBCの中間レビューに寄稿されたものである。

注1)
Daily Telegraph: https://www.telegraph.co.uk/news/2021/11/02/bbcs-prophet-doombelongs-pulpit/.

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