家電の買い替えどき
丸山 晴美
消費生活アドバイザー
秋が深まり、朝晩の冷え込みが強くなってきましたね。暖房器具を使う機会が増えてきたお宅も多いかと思います。今年は特に電気やガスの値上げが多い年でした。また来年の2019年10月には消費税が10%になるとの報道があります。2%の増税で1万円で1000円、(200円)、10万円で10,000円、(2000円)、100万円で10万円(2万円)。カッコ内の額の負担が増えることになります。増税前に駆け込んで高額商品を購入して差分をお得にしようと考えるのは当然のことです。特に住宅の場合は金額が金額なので、近々購入を考えている人であれば、増税前のタイミングを狙うという考え方もあるかと思います。住宅購入に関しては次号に譲るとしまして、今回は家電の買い替えどきについてエネエコな観点で考えてみたいと思います。
買い替えるなら省エネ性能が高いものを選ぶ
電気やガスの値上げが続くと家計への負担も大きくなります。特に、冬は暖房を使うので光熱費がかさみます。資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ」家庭用2017年冬版によると、10年前の家電から買い替えることによって節電になることがわかります。
家電製品の省エネ性能を示すラベルが「省エネルギーラベル」です。
省エネルギーラベルには、「e」と書かれている省エネ性マークがあり、この色でトップランナー基準を達成しているかどうかがわかります。緑のeは達成率100%以上、オレンジのeは、未達成であることがわかります。
「省エネ基準達成率」は、どの程度達成しているかを%で示しています。
「エネルギー消費効率」は年間消費電力量と示してあり、商品によって表示語が異なりますが、製品ごとに定められた測定方法によって得られた数値です。
そして、「e」マークの下にある「目標年度」は、トップランナー基準を達成すべき年度で、製品や区分ごとに設定されています。
家電量販店などで販売されている家電製品にこのような表示を見たことはないでしょうか。これは、統一省エネルギーラベルというもので、エアコン、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、テレビ、電気便座、照明器具(蛍光灯器具のうち家庭用に限る)に表示されています。
この1枚のラベルで、省エネに関する情報がわかります。
冷蔵庫のラベルを例に見方を解説すると、○○年度と書かれたものは、何年度に評価されているかを示しています。
冷蔵庫でノンフロンの冷蔵庫にはノンフロンの表示があります。
☆は、多段階評価基準で、1つ星~5つ星で評価を表しています。星の数が多いほど達成率が高いことがわかります。
省エネラベル
星印の下にある省エネラベルでは、先に解説したものと同じ見方をします。
その下には年間の電気料金の目安があります。
簡易版ラベル
また、星印が無い簡易版で表示されることもあります。
このように省エネ性能の高い家電を選ぶことで、使用時の電力消費が抑えられ、それが支払う電気料金にも影響するので、省エネラベルは購入時の製品の比較材料にもなります。
また、現在使っている家電製品を新しい家電製品に買い替えることで、どれだけの節電ができるかどうかといった比較が「照明・器具・LED照明」、「エアコン」、[冷蔵庫」、「テレビ」、「温水洗浄便座」に関しては、「しんきゅうさん」で比較することができますので、こちらも参考になります。
https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/
エコ(環境)の面ではこうした表示を参考にすると良いことがわかりましたが、エコ(家計)で見た場合の買い時を考えてみましょう。
家電の買い替えどきは約10年とも言われていますが、壊れたり、調子が悪くなった時が買い替えどきと言えるでしょう。10年以内に調子が悪くなる家電もあれば、20年近く現役で頑張ってくれている家電もあるかも知れません。ですので、増税=駆け込みで買い替えではないと言えます。
価格面で言うと、家電はボーナス時期に合わせて新製品が発売されます。夏は6月、冬は10月頃に新製品が発売され、8月、12月頃の新製品の価格はほとんど値下がりはしません。家電の新製品のサイクルは1年であることがほとんどなので、発売から1年をかけて値下がりしていきます。つまり、家電を安く買いたいのであれば、型落ちになる5月9月頃がベストと言えるのです。型落ちといっても、ガタ落ちするほど製品が劣るかと言えばそうではありません。ついこの間までは主役だった製品なのですから。しかも家電製品は発売時の初期ロットから軽微なエラーなどを修正しながら製造するので、後期ロットと言われるものは製品として安定しているとも考えられるので、型落ちになる頃の製品はお買い得とも言えるのです。
家電量販店の決算を狙う
家電量販店の決算は家電量販店によっても異なりますが、2月、3月、8月(中間決算は8月、9月、2月)が多いと思います。決算時期はきれいな数字の決算書を作るために、在庫を減らして現金を増やしたいので、在庫を処分するための値引き交渉がしやすいとも言われています。
増税で2%の増税分を駆け込みで買うよりも値動きのある商品は、増税後に価格が下がるので無理に買う必要はないと考えます。購入時は、タイミングを考え、省エネ性能をチェックして、購入後は節電を意識しながら使いましょう。