ガス発電って、どんなもの?(その2)
扇島パワーに潜入!
丸山 晴美
消費生活アドバイザー
天然ガス発電所の内部まで見学してきました。
LNG(液化天然ガス)が安全でクリーンなエネルギーであることが理解できましたが、今回は発電所へご案内いただけるということで、内部に潜入してきました!
しかし、撮影はNG!ということで、いただいた資料を元にレポートいたします。
まずは東京ガス扇島LNG基地からバスに乗り、発電設備のある扇島パワーへ向かいます。その途中に古墳のような不思議な形をしたものを見る事ができます。
これはLNGを貯蔵するタンクで、世界最大のLNG地下タンクです。タンクと言えば地上にそびえ立つタンクを想像していましたが、とてもスマートな造りだと思いました。
そしてタンクを過ぎると、そこは扇島パワーステーションです。ここでは3基の発電設備が稼働しています。
個人的な感想としては、発電設備はもっと大きいものだと思っていたのですが、意外にもコンパクトな印象を持ちました。
ところが、お話を伺うと1基あたり約41万kWの発電ができ、3基で約122万kWの発電をする施設であるとのことでした。単純に数字だけだされても漠然としていますよね。一般家庭約200万軒相当の需要をまかなうことができるのです。
これまた200万軒と言われても…いまいちピンと来ない方のために、横浜市の総世帯数が1,659,203世帯注1)なので、横浜市をまるごとカバーできる発電量ですので、コンパクトながらもしっかり発電できているとも言えるでしょう。
そして扇島パワーステーションは最大の電力消費地である首都圏に立地しているので、発電した電気を効率良く送電することができるのです。
ちなみに、発電した電気は送電線によって各所に送られていきますが、距離や送配電線の抵抗によって電気エネルギーが失われて行く「送電ロス」が発生します。つまり、長距離になればなるほど、発電された電気が失われて行くので、最大消費地の首都圏に近い発電所はそれだけ効率も良くなるということなんですね。
- 注1)
- 出典:横浜市統計ポータルサイトより
発電効率は?
扇島パワーステーションの燃料は前回もご説明した通り、天然ガス(LNG)を使用し、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた高効率な発電方式であるガスコンバインドサイクル発電方法を採用しています。
多分、これで分かっている方なら、そもそもこのブログを読んでいないはずですので、資料をもとに解説します。
まずは、図の数字を見ながら解説していきます。
- ①
- 圧縮した空気と燃料ガスを燃やして、その燃焼ガスのエネルギーでタービンを回転させます。
- ②
- ガスタービンでの仕事を終えた燃焼ガスの熱エネルギーを排熱回収ボイラーで回収して蒸気をつくります。
- ③
- 高温高圧の蒸気のエネルギーで蒸気タービンを回す。
- ④
- ガスタービン、蒸気タービンと同じ軸で繋がっている発電機が回り発電します。
どのあたりがコンバインドサイクル発電かと申しますと、②の部分ですね。仕事を終えた熱エネルギーも更に活用してムダ無くそして効率良く発電するところです。
こういったムダのないところに好感が持てますね。
発電所の中に入った感想は…暑かったです。そしてなかなかの轟音でしたが、やっぱりコンパクトな造りでしたが、ガス発電所はコンパクトに作れるのも魅力のひとつだと思いました。
安全性は?
やはり気になるのは安全性ですよね。扇島パワーステーションでの取り組みを伺いました。
本体は日々の保守だけではなく、約2年毎に設備を停止して定期点検を実施しており、点検の際には昼夜を問わず2カ月にわたって各設備の分解整備を行い、安定的な発電と高い効率を維持しています。とのことでした。
まとめると、安全性が高くクリーンなエネルギーと言われるLNGを、安全性を重視しながら効率良く発電する天然ガス発電は、集中してエネルギーを消費するエリアにはぴったりの発電方法だと思いました。
電力自由化でその世帯に合ったプランが提供され、事業者を早めに替えることで、その後がずっとお得になるのであれば、切り替えを検討したいと思いました。
今回取材にあたってご協力いただきました東京ガスの方に感謝しつつ、またどこか見学させていただけるところがあれば伺いたいと思います。