ガス発電って、どんなもの?(その1)
燃料のLNGを知る
丸山 晴美
消費生活アドバイザー
天然ガス発電の見学と液化天然ガス(LNG)を学んできました
最近あまり電力自由化が取り上げられなくなってきて少し残念にも思えるのですが、お会いする方の中から事業者を切り替えたという声が聞けるようになってきました。
事業者や料金プランを見直すことでお得になった人と、反対に見直して損をしてしまった場合もあるかも知れませんね。だからこそよくよく考えたいものです。
そして世はマイナス金利時代で、預けるだけでお金が増える時代は終わっていますから、自からお得へと舵取りをしなければ、いつまで経ってもお金は残らない時代とも言えるでしょう。
私自身、事業者選びに悩みながらこの1年が終わろうとしています。スマートフォンは格安SIMに乗り換えて、日々お得を実感しているので、電気も事業者を変えることでお得になるのかまだ考え中です。
そんな中、新電力の1つでもある東京ガスさんの扇島パワーステーションをタイミング良く見学させていただくことができましたので、LNGや天然ガス発電のご紹介をしたいと思います。
今回お邪魔した扇島パワーステーションは、川崎市と横浜市の市境に位置する人工島内のJFE東日本製鉄所の敷地内にあり、東京ガス扇島LNG基地のすぐ近くに立地する発電施設です。
電力小売事業者には2パターンあり、自社もしくは関連会社で発電している場合とそうでない場合がありますが、東京ガスの場合は前者にあたります。
話は少し逸れますが、厳密に言うと発電している事業者と契約をすれば、事業者が提供する電気をダイレクトに使えているわけではありません。実際はあちこちで発電した電気は同じ電線を通って変電所に運ばれ、全て混ぜ合わされて各家庭に供給されています。つまり、事業者を選らぶことはできても、電気そのものを選ぶことは100%自家発電をする以外は実質不可能なのです。
話を戻して、扇島パワーステーションはLNGによる天然ガス発電設備です。ここで、LNGとはなんぞや?と言う方のために少しだけ解説しますと、LNG(Liquefied Natural Gas)の略で、液化天然ガスのことです。液化天然ガスはメタンを主成分とした天然ガスをマイナス162℃まで冷却して液体化したもので、気体の状態に比べて体積は600分の1になるので、海上でのタンカー輸送とタンクでの貯蔵が可能になります。
そして、LNGは地球温暖化の原因となる二酸化炭素の発生量も石油・石炭に比べて30%から40%少ないという優れた環境性もエネエコなエネルギーとも言えるのです。
まずはLNGの安全性をより理解するための、実験をしていただきました。
まず、はじめにLNGが無色透明でクリーンなエネルギーであることを証明する実験です。
LNGはタンカーで輸送されるので、もし仮にタンカーから液漏れした場合にはどうなるのかをビーカーに水を入れて海水に見立てて実験をしています。
結果はご覧のようにあっという間に気化して、中に入っていた水が凍っています。仮に海上で液漏れをしても、あっという間に海水で溶けてしまうというので海を汚すことのないクリーンなエネルギーであると解説しています。
次はLNGがどれだけ冷たいかの実験をしてくださいました。カーネーションをLNGの中に入れると、シュワーという音と煙と共にあっという間に凍ってしまいました。
一握りでこんなにパリパリに粉々に砕け散りました。
お次はゴムボールをLNGの中に沈めてみます「ゴボゴボシュワー」といった音と共にゴムボールは冷やされていきます。
そして氷らせたゴムボールを木槌で叩くと、花びら同様ゴムボールも粉々に!なかなか派手なパフォーマンスです。見ていても楽しいです。
こうしてLNGは安全なエネルギーであるという実験が終わりました。
臭いもしない息苦しくもならない、本当にクリーンなエネルギーであると感じました。
次はこのLNGを使った発電所の方へ移動することになったのですが、なんとそこから撮影がNGとなってしまいましたので、いただいた資料をもとにレポートをしてみたいと思います。