COPに参加する方も、しない方もお読みください

-COP21が始まった-


国際環境経済研究所所長、常葉大学名誉教授

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 気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が始まった。COPは不思議な会議で、中にいると全体像が掴めない。あまりに会議が大きく、いろんなことが同時に起こることがあるからだろう。
 初日に150カ国の首脳が集まったことから、ローラン・ラビウス仏外相の次の演説の通りの状態と言える「交渉は野心的でなければならないが、150人もの首脳が集まったことから最初の条件は満たされた。本会議で全てを解決することはできないが、この会議がなければ何も始まらない」。
 しかし、初日の状態をみると、やはり各国は様々な思惑を抱えている。まず、ロシアだ。ニューヨークタイムズ紙は、懐疑論をかつて述べていたプーチン大統領さえが「気候変動は人類が抱えている最も重要な問題の一つだ。気候変動問題に対処するためロシアは積極的に貢献する」と述べたと伝えている。その一方、ロシアは「排出目標には法的拘束力が必要」と述べたとの報道もある。
 各国が自主的に提出した排出目標に法的拘束力を持たせれば、中国をはじめとした新興国は、新取り決めへの参加が難しくなる。議会の承認が必要になる米国の参加も実現しない。ロシアは、本音では米国を牽制し、自国の実質なにもしない取り組みを正当化させようとしているとの見方もある。ロシアの表向きの態度と本音は異なるということだ。
 オバマ大統領は気候変動問題に責任があると認めたが、演説では「米国は、この問題を引き起こすのに役割を果たしたことを認識しているだけでなく、何かをしなければいけない責任を受け入れる」と述べている。途上国と先進国間には「共通だが差異のある責任がある」とした気候変動枠組み条約の精神を、米国は初めて公式に受け入れたとの報道もある発言だ。
 オバマの譲歩とも言える発言にも拘わらず、途上国では、インドが頑なだ。モディ首相は「気候変動は我々が引き起こしたものではない。貧しい国は経済成長のために化石燃料を消費する権利を持っている。しかし、気候変動はインドの農民にも大きな影響を与える。もし、インドが何らかの削減を行うのであれば、先進国からの資金援助により途上国のエネルギー転換が図られるべきだ」と主張している。
 多くの途上国は、先進国からの資金援助を期待しているが、初日の演説でベネズエラとニカラグアは「交渉は信頼性を欠く。従って、自主的な目標値の提出はしない」と発言し、交渉を妨害する意図を示唆している。
 150人の首脳の集合はあったものの、交渉は一筋縄ではいかないということだ。

COP21に参加する方に

-会場までの交通機関-

 会場には、RER B線のLe Bourget駅、あるいは地下鉄7号線のFort d’Aubervilliers駅から出ているシャトルバスを利用します。Le Bourget駅まで都心から10分程度、駅から会場まではシャトルバスで5分程度。Fort d’Aubervillers駅までは20分ちょっとで、シャトルバスは10分くらいです。駅には係員が多くいるので、バス乗り場は直ぐにわかります。Le Bourget駅の利用者が多く、シャトルバスは満員のことが多いですが、地下鉄7号線の利用者は少ないようで、バスは空いています。ただし、バスの発車の間隔は少しあきます。
 どちらの路線も、治安の良くない場所を通ります。RERは空港とGare du Nord(北駅)間の急行がLe Bourget駅に期間中は臨時停車しますので、来た電車に乗れば大丈夫ですが、急行のほうが治安がよいと言われています。手荷物に注意することですが、私が10年前にであった手口はこうでした。都心の駅から車両に乗り込もうとしたところ、前にいた3人組が、邪魔をして中にいれてくれません。右に行こうとすると右に、左に行こうとすると左に移動し入口から中にいれないのです。知人が直前に、この手口の被害にあっていました。ドアが閉まる直前に荷物を奪い、ホームに3人組が降りるのです。直後にドアが閉まり、どうしようもないという手口です。私は、直ぐに違う車両に移動し事なきを得ました。あと、混んでいる車内で紙袋を持って乗車する場合には要注意です。蓋がないので、なかのものを取られる事件が多くあります。特に買い物を入れてもらった紙袋は狙われます。高額な買い物をした後は気をつけましょう。
 案内書では、Le Bourget駅から徒歩25分と道順が示されていますが、歩ける雰囲気の街ではないです。特に暗くなってからは(明るくなるのは8時すぎ、暗くなるのは4時頃)100%危険な雰囲気です。歩いている会議参加者はみたことがありません。

会場入口

会場入口

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