敦賀JC:立地地域からの発信
篠原 秀和
公益社団法人敦賀青年会議所 2014年度理事長
原子力立地地域である私たちのまち敦賀市では、国のエネルギー政策とりわけ原子力政策の先行きが不透明という点で市民が不安・不満を少なからず抱いているのが現状です。明るい豊かな社会の創造を目的として活動する青年会議所としては、このエネルギー問題を敦賀の抱える喫緊の課題として今年度活動して参りました。
原子力産業が今後閉塞していくのではという不安を解決するために
敦賀市は7万人弱の人口です。実際に原子力発電所で働く人、原子力関連の会社で働く人、そこから二次的、三次的に働く人を含めると、敦賀市民に占める割合は相当多く、原子力関係での流入人口も相当多いというわけです。
ですので、わたしたち市民の感覚的には、国からの補助金ということよりも、実際に働き口・仕事がそこにあるという感覚なのです。
そこて、今回の流れの中でいわゆるこの原子力産業が今後閉塞していくのではないかという不安が少なからずあるわけです。この不安を解決するには原子力産業が無くてもよい経済循環を模索しなければならないし、まずは個人レベルで、原子力関係で働く方は原子力産業の発展に尽力をつくしてもらうべきですが、それ以外の市民一人ひとりはまずはご自身のビジネスを努力していくしかないという思いがありました。
4月に行ったフォーラム「今こそ考えよう!エネルギーとまちづくり」において、敦賀青年会議所として発信させていただきました。
「原子力は悪」というほどの世論に対する不満を解決するために
今の世論では、各種報道や根拠のない噂による「原子力は悪」というほどの感情論ばかりが先行してしまっている状況が見受けられます。実際に先に書いた敦賀青年会議所が行ったフォーラム「今こそ考えよう!エネルギーとまちづくり」では、原子力エネルギーは国益、安定供給、環境性、安全保障という点で必要であると明確に発言した上で、原子力産業が無くてもよい経済循環を模索したいと発言したにも関わらず、新聞報道では発言の一部を切り取られるかたちで、まるで反原子力の集会を行ったかのような記事を書かれてしまいました。このことは衝撃的な事実であり、今の世論はこのような報道の問題の上で成り立っているのが現実ではないでしょうか。
また敦賀市のような原子力立地地域が原子力ムラと揶揄される現実もあり、このままでは市民のまちへの愛着さえも失われてしまうのではないかと、私たちは危惧しています。
原子力立地地域の人間として何十年も原子力について当事者意識を持って生活してきた私たちだからこそ、今のこの世論には違和感を覚えてなりません。
そこで、エネルギーに対する世論の実際のところはどうなのか?について関西地域の青年会議所会員にアンケート調査を依頼してデータを取り、それを元にして私たち公益社団法人敦賀青年会議所としての思いを発信させていただくことで、国としての決断をゆるぎなく発信し引っ張って行ってもらいたい。正しいことは正しいと発言してもらいたい。国が責任をしめして欲しい。そんな思いを旨に、私たちは敦賀の経済が大変だから原子力発電所を再稼働してほしいと訴えたいのではなく、立地地域の人間だからこそできる発信があるという思いで要望書を作成しました。
その要望書を経済産業省宮沢大臣に手渡すことができ、私たちの思いも伝えさせていただきました。この様子を新聞報道、意見広告、SNSなどで発信させていただき、私たちの思いが伝わることで今の日本が抱えるエネルギー問題が一歩前進できるための一助となることを願っていますし、多くの国民・市民の方々がこのエネルギー問題をさらに考えるきっかけになればと願っています。
今回の運動で問題の全てが解決するわけではありません。問題解決に向けてまだ一歩踏み出したばかりです。次年度以降もわたしたちのまちつるがが抱える問題を解決するための運動を公益社団法人敦賀青年会議所は行っていきます。