誤解だらけのエネルギー・環境問題
再エネ全量固定価格買取制度の 回避可能費用をめぐる迷走
竹内 純子
国際環境経済研究所理事・主席研究員
そして、議員は、2回目のブログで、最初のブログでは全く触れていなかった論旨ハについて言及されている。この論旨は正しい。最初のブログで議員が引用した自然エネルギー財団による報告書「回避可能費用の計算方法に関する分析」では、彼らがより適当と考える、例えば卸電力価格を指標とする 場合に比べて、再エネ賦課金が年間1000億円ほど過大になっていると主張している。しかし、論旨イの主張はされていない。その差額を懐に入れ得るのは、論旨ハでいう「サヤ抜きをする者」である。
2回目のブログでは、論旨イについて全く触れておられないので、議員がこの点について現在どのようにお考えなのかはわからない。しかし、2回目のブログで、論旨イの訂正をすることなく、また、正しい主張である論旨ハは「新電力によるさや抜き」ができてしまう構造を指摘しているのに、ブログの最後は「電力会社と経産省に騙されてはいけない」という意味不明な締めである。与党に属する国会議員たる方の発言としていかがなのだろうか。
もし間違った情報や理解に基づき公に人を批判したら訂正すべきであろう。電力会社が不当に儲けている、と一度上げたこぶしが降ろしにくかったのかもしれないが、このちぐはぐな論旨展開は一有権者として非常に残念であった。