電気料金値上げによる関西地域の製造業への産業影響
本間隆嗣・秋元圭吾
公益財団法人 地球環境産業技術研究機構
関西地域における産業別の比較
電気料金上昇に伴う産業別影響は産業によって異なる。影響が深刻であるのは、化学、鉄鋼、非鉄、窯業・土石など産業である。これらの産業は電力の原単位(生産額当たり電力購入額)が相対的に大きいため、製造業平均と比較すると、非常に大きな影響を受けると推計された。
電気代増分を従業員一人当たりに換算すると、製造業平均では約8(万円/人/年)であるのに対し、電力の原単位の大きい化学、鉄鋼、非鉄、窯業・土石などの産業は50(万円/人/年)を超えると推計された。また、電気代増分を給与に占める割合に換算すると、製造業平均では約2%であるのに対し、電力の原単位の大きい産業では10%を超えると推計された。
関西地域における府県別の比較
電気料金値上げによる関西地域合計(製造業計)の電気代増分は、製造業の約2万3千人分の現金給与に相当する。府県別の内訳としては、経済規模の大きい大阪府や兵庫県の負担額がいずれも7千人相当の現金給与額に相当すると推計される。
府県別(製造業平均)に比較すると、給与当りの電気代増分に関して、和歌山県と滋賀県がそれぞれ2.9%、2.2%と推計され、相対的に影響が大きい。これは、府県別の産業構造によるもので、和歌山県では電力多消費産業である化学工業や鉄鋼業の産業比率が多く、滋賀県では化学工業や窯業・土石業の比率が大きいためである(P2参照)。一方、電力多消費産業の比率が小さい、京都府や奈良県では、電気代値上げによる影響が相対的に小さく、それぞれ1.4%、1.8%と推計される。