電気料金値上げによる関西地域の製造業への産業影響
本間隆嗣・秋元圭吾
公益財団法人 地球環境産業技術研究機構
分析の方法
電気料金値上げの分析のために、平成22年工業統計を利用し、製造業への影響を都道府県別に調べた。対象産業は、約540産業であり、従業者4人以上の事業所が対象である。
分析では、まず、工業統計から得られる、生産額と生産額当たり電力使用額(原単位)に対して、電気料金値上げ幅を想定し、都道府県別・産業別の電気代増分を推計した。次に、それらの増分の負担が現金給与から削減される場合を想定し、現金給与当たり電気代増分として評価した。
なお、公開されている工業統計では、都道府県別にみると事業者数などが極端に少ない産業についてはデータが非公開であり、そのような産業の生産額や給与額などは、全国平均値などから推計した。全国レベルにおいても原単位などの推計が困難である産業については、電気料金値上げの影響を受けないと想定した。また、本分析では、電気料金値上げによる省電力効果は考慮していない。
各地の電気料金の値上げ幅は、申請中の地域を含め、表のように想定した。関西電力エリアでは+17.28%、東京電力エリアでは+14.90%の電気料金値上げ幅を想定した。本分析では、全ての製造業が自由化部門に属すると想定した。この電気料金の値上げの想定は、一部の原発の再稼働が前提となった料金であり、再稼働が遅れた場合にはより大きな上昇が予想される。一方、この値上げには化石燃料価格連動分は含まれていない。