日本鉄鋼業、世界で最も優れたエネルギー効率を維持
小田潤一郎・秋元圭吾
公益財団法人 地球環境産業技術研究機構
転炉鋼のエネルギー効率(2010年)
転炉鋼・電炉鋼の区分の他にも、技術水準を適正に評価でき国際的に比較可能なエネルギー効率を推計するためには、輸出入コークスや副生ガス回収有効利用などの実態を反映させ正味で消費したエネルギー量を計算する必要がある。この計算をRITEは実際に行っており、計算方法についても国際査読論文にて採用されている。RITEの推計方法は、国際的にも認められており、かつ論文としてオープンになっている。
このような方法論に基づき推計された2010年時点の転炉鋼のエネルギー効率を示す。転炉鋼は、世界において鉄鋼生産の主流であり、技術水準の国際的な差異も比較的大きく、エネルギー効率の国際比較として最も重要である。2010年時点の推計は世界的に見ても初めてであり、他に公開されたエネルギー効率のデータはない。ここでは日本のトン粗鋼当たりの一次エネルギー投入量を100に規格化して示した。
図から、日本が世界で最もエネルギー効率に優れていることが分かる。これは、多数の省エネ技術の活用(ハード面)、製鉄所全体のエネルギー管理(ソフト面)の両方を地道に積み重ねてきた結果と言える。