余りにも理不尽な再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度
この制度の廃止を強く訴える
久保田 宏
東京工業大学名誉教授
国民に負担を押し付けない自然エネルギー電力導入のための「限界設備価格」の概念を提言する
もちろん、現在、電力生産の主体を担っている化石燃料はいずれ枯渇する。化石燃料の代わりに原発を用いることができないとすると、エネルギーの自給のためには、自然エネルギーに頼らざるを得ないことになる。しかし、それには、石炭を主体とする輸入化石燃料の価格が高くなって、火力発電に代わる自然エネルギーの利用が経済的に有利になることが、その導入のための条件とされなければならない。このような「脱化石燃料社会」を目指した輸入化石燃料代替としての国産の自然エネルギーを導入するための条件を求める方法として、筆者は、下記するような「限界設備価格」の概念の導入と同時に、それを支援する「国の補助金」の支出のあり方について提案している。
「限界設備価格」とは、自然エネルギー発電設備の使用期間中に生み出される電力の売上金額の総量で、減価償却できる設備の製造コスト(設備使用時の維持費を含む金額)とする。また、適正な「国の補助金」は、設備の使用期間中の発電量によって節減できる現用の火力発電で消費される化石燃料の輸入金額とする。これらの計算方法と計算結果については、下記PDFを見られたい。なお、試算例等の詳細については文献4を参照されたい。
注;引用文献は、PDFの末尾に記す。