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賠償額を上回る燃料費負担増が電気料金を押し上げる


国際環境経済研究所所長、常葉大学名誉教授


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原発事故が電気料金に二つの影響を与える

 いくつかの国が原発の操業と新設に慎重な姿勢を示しており、各国で今後、原発に替えて火力発電の稼働率が高まることが予想される。その結果、需要が増える石油とガス価格は上昇するだろう。仮に将来の重油価格を1t当たり10万円強、天然ガス価格を7万円強と想定すると、原発停止により、東電が新たに支払う燃料費は約1兆円になり、新聞報道の数字に合う。

 原発事故により地元の人々が受けた被害には、生まれ育った土地を離れる苦痛を含めた精神的なものなど、金銭には換算できないものも含まれるが、金銭面だけで比較すると、原発停止による燃料費の負担額が賠償額を上回ることになる。

 さて、燃料費の増加分がすべて電気料金に跳ね返るわけではない。原発の停止により削減される費用もある。その費用は4000億~5000億円程度と推測される。つまり、火力発電用の燃料を新たに手当てすることにより発生する費用は、5000億~6000億円程度と想像される。

 朝日新聞が報じた「料金16%上げ」には、原発停止によるコスト増分が含まれているのかもしれない。賠償分2000億円に追加燃料費5000億円と考えると辻褄があう。逆に、16%の値上げに燃料費増加分が含まれていないのであれば、電気料金はさらに10%以上値上がりし、賠償分と合わせると1kW時当たり平均で約4円上昇する計算になる。工場が東電管内から移転を考えるほどの金額だろう。

 近々、東電から料金値上げ案の内訳に関する発表があると思うが、原発事故は電気料金に二つの影響を与えることを念頭に置き、今後のエネルギー政策を議論することが必要だ。

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