コロナ禍に海外に出かけたら結構スムーズでした


国際環境経済研究所所長、常葉大学名誉教授

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 今回はエネルギー環境の話とは全く関係のない、海外渡航の話です。コロナ禍で海外に出かける方への情報ですが、渡航情報に関しては情報が錯綜することも結構あるようです。

 コロナ禍なので、海外に出かけるのは大変だが、どうしても海外に出かける必要がある方もおられるだろう。私も海外に出かける必要が出てきてしまった。タイ、バンコクなのだが、バンコクでは1月末まで入国後7日間の隔離が必要とされた。観光地プーケットには隔離なしでも入国可だったが、プーケットから移動すれば隔離されることになっていたので、7日の隔離を避けバンコクを訪問する方法がなかった。日本に帰国後も7日間の隔離が必要とされることから、少なくとも2週間以上スケジュールに空きがないと渡航は無理だった。
 スケジュールをいろいろ考えたが、当分無理だと諦めていたところ、2月1日からタイでの隔離が実質1日になった。日本ではコロナ患者が急増し、予定されていた講演などのスケジュールが変更されたりオンラインになったりしたので、日本の1週間の隔離期間も乗り切れる見込みが立ち、タイを訪問することが可能になった。ということで、タイ訪問の準備をいろいろし、今2月18日現在、バンコクにいる。まだ、日本から来られる方は少ないようなので、ご参考までにタイ訪問前の準備から入国後の手順まで何があったか述べてみたい。

事前準備は大変です

 国により必要な書類は異なるのだろうが、2回目のワクチン接種後2週間以上経過している人のタイ入国に必要な書類は以下の通りだ。ワクチン接種が終わっていなければ、10日間の隔離とその間2回のPCR検査が必要になる。

出国72時間前以降に行ったPCR検査の陰性証明
ワクチン2回接種の証明書(英文)
タイ労働安全衛生局(SHA)の承認を得たホテルの1泊目と5泊目、それぞれのPCR検査の予約と前払い
空港からホテルまで公共交通機関利用は禁止なので車の事前予約
新型コロナウイルス感染症 及び 関連疾患の治療費を含む50,000米ドル以上の治療補償額の英文医療保険証

(必要書類などの情報は更新されることがあるので、詳しくはタイ大使館のホームページをご覧いただきたい)。

 ②から⑤までの書類を用意したら、タイランドパスというシステムに登録する必要がある。それぞれの書類の写真を用意しアップロードするだけだが、タイ政府の説明では登録の承認に最大7営業日掛かることがあるので、早めに登録をとなっている。私の場合には、木曜日の午後6時(タイ時間午後4時)に登録し、翌朝9時(タイ時間7時)に承認の連絡が来た。思いのほか申請者が少ないのかもしれない。
 また、英文のワクチン接種証明は、私の住んでいる区の場合郵送で申請することになっていた。郵送で申請した後、バンコクのホテルを予約する際に英文の証明書が必要なことが分かり、急いで英文証明書を用意することになった。ホテル予約を依頼した旅行代理店は当初日本語の証明書で大丈夫と言っていたのだが、そうではなかった。ホテル予約の確認が来たのは、申し込んでから4営業日目だったので、早く予約しないとタイランドパスの申請と承認が間に合わないこともあるかもしれない。
 区役所のワクチン窓口に電話で相談したところ、急ぐ場合には10時までに書類を持参し申請すれば当日、10時以降の申請は翌日に発行可能とのことだったので、午後2時頃区役所に書類を持参したところ、郵送書類を基に英文証明書を用意戴いていた。お役所仕事という言葉はもう死語かもしれない。
 ホテルの予約には、車の手配、PCR検査も含まれているのが標準のようなので、ホテルを予約すれば、③と④は同時に処理ができる。ただし、前払いが必要なので、仮に書類が揃わないで旅行がキャンセルとなれば、負担だけ残ることになる。旅行保険は航空会社、旅行代理店がコロナによる入院もカバーしたものをネットで販売しているので簡単に予約でき、英文の証明書もネットで入手できる。
 出発72時間前以降のPCR検査も日系航空会社のホームページには対応可能なクリニックが紹介されているので、ネットから予約することが可能だ。追加料金を支払えば、陰性証明書を検査当日に受け取ることも可能だ。待ち時間を合わせても検査の所要時間は15分程度だった。


左:タイのホテル 客室 右:タイのホテル 廊下

情報は錯綜しています

 旅行代理店から、タイ入国後必要になるアプリがあるので機内でダウンロードしてくださいと言われていた。機内のWifiは有料なのに、それでダウンロードするのは変な話と思っていたが、機内でキャビンアテンダントに尋ねたところ、ダウンロードするものはないと言う。実際にタイ入国に際し導入しなければいけないアプリはなかった。
 さて、2月17日羽田でのチェックイン時必要書類を確認され、その上で言われたことは、タイ入国時には1万バーツ(約4万円)以上持っていることが必要ということだった。入国時所持金に関する質問は全くなかったので、この要請は事実かどうか確認できなかった。
 機内はがらがら。私はビジネスクラスだったので、エコノミーの正確な乗客数が分からなかったが、乗客の姿は数名しか見当たらなかった。ビジネスクラスは50,60席に4名だったが、ファーストクラスがあるフライトで、ファーストは8席の内6席が埋まっているように見えた。今の時期に渡航する方には会社の経営層が多いのかもしれない。
 キャビンアテンダントからは、「タイランドパスに登録した場合には入国書類は不要と聞いたが、念のため記入してください」と入国書類を渡されたが、入国書類は必要だった。パスポートコントロールで入国記入分は回収され、帰国用の記入部分を返された。

到着したら

 降機後ゲートで係員から一人ずつ検疫記入用シートを受け取る。どこで記入するかと言えば、最初にある検疫カウンターの前に椅子が数百脚並んでおり、そこに座ってだ。私が着いた時には、誰も座っておらず、書類記入後、プリントアウトしたタイランドパスのQRコードを見せて数分で通過した。
 パスポートコントロールでは、質問は滞在日数と予約したホテルに前払いしているかどうかだけだった。荷物も乗客が少ないためかスムーズに出てきた。出口は、ホテルを予約した際に指定されていた。出口の前にはHOTELと書かれた腕章を付けた各ホテルの案内係が多数おり、その中から予約したホテルの案内係を見つけることになる。
 数分待たされた後、1人1台のSHA認定の運転席と客席が完全にプラスチック板で仕切られた車でホテルまで向かうことになる。ホテルでは、チェックイン時に、ラインのお友達登録をさせられた。ラインを持ってない人には何か異なる方法があると思うが、食事の連絡、メニューがラインで送られてくる。
 チェックイン後別フロアーのPCR検査場に案内され、PCR検査。18時までに到着したフライトは翌日朝には結果が出るようだ。フライトが遅れても到着予定時刻で検査結果を出すシステムになっていた。PCR検査後部屋に案内されるがキーは貰えない。部屋を出れば入室できなくなる。食事はラインのメニューを見て電話で注文すると、部屋の前に置かれている台の上に置いて行ってくれる(写真1が隔離部屋、写真2が廊下の状態)。
 翌朝7時に結果報告の電話。陰性なのでフロントに行き部屋の鍵をもらうように言われる。朝食は部屋にデリバリーされることになっているので変更はない。その後自由に行動可能ということで、今のところコロナ禍といいながら、準備が大変なだけで入国後は極めてスムーズ。また、システムは良く練られており、隔離はほぼ完ぺきで隔離から勝手に抜けることは難しそうだ。
 5日目のPCR検査も同様の仕組みで行われる。ただ、日本入国時に海外出発72時間前以降に行ったPCR検査の陰性証明が必要になる。タイ入国に伴い行われるPCR検査では日本政府の書式に沿った陰性証明は発行されないので、この手配は自分で行うか旅行代理店に依頼する必要がある。
 バンコク市内は数年前に来た時とほぼ同じ活気だが、全員がマスク着用。ホテルの宿泊客が少ないためか、ホテルのレストランは朝食以外提供されないので、隣のショッピングモールで食事をするように要請された。モールには人は多いものの、金曜の夜のレストランにはほとんど客はいない状態。現地の人に聞いたところ、コロナ禍によりデリバリーサービス利用とテークアウトする人が非常に増えたらしい。街中では、デリバリーサービスのオートバイが目に付く。ピンクとかイエローとか様々な会社があるようだが、日本で目に付く緑色と赤色の会社のサービスはバンコクではないとのことだった。


左:タイ 日曜日の高架鉄道の駅 右:タイ ショッピングモール

 準備は大変だが、入国後はPCR検査と一晩の隔離を除けば。いままでと変わることはなく、時間を取られることもなかった。コロナ禍なので様々なことに気をつけなければいけないが、システムを良く考え、複数回のPCR検査を組合せることで、入国者を上手に管理することは可能なように思える。