デジタル時代のエネエコ術
丸山 晴美
消費生活アドバイザー
マスク生活が当たり前となって1年近くが経とうとしていますね。この1年で急速に生活様式が変わりました。その流れの速さになかなかついていけない人もいるかと思いますが、これからの新しい時代の中で切ってもきれないのがデジタル化です。
もともと10年以上前から進められてきたペーパーレス化がありますが、コロナ禍でデジタル化が急速に進んでいると感じています。今回は、デジタル化をすることでエコにつながるものをご紹介したいと思います。
音楽、動画、本のデジタル化
音楽データや、画像データ、書籍のデジタル化により、PCやタブレット端末などの記録メディアの中に何万枚、何万冊といった膨大な量の情報を納めることができるようになっています。また、クラウド上にデータを置いておくことで、大容量の記録メディアを持たなくても、好きなときに聴きたい、見たい、読みたいデータにアクセスすることで楽しむことができます。
今までは、音楽ならCD、画像ならDVDやブルーレイ、本なら紙の本を所有していたものが、デジタル化により「もの」を所有する必要がなくなります。つまり、これら「もの」を所有しないことで、スペースの節約につながります。また、データ版は現物と比べて安い場合もあります。定額制で好きな音楽や動画などを聴き放題、見放題といったサブスクリプションサービスに加入することで、購入コストを抑えることもできますので、自分のライフスタイルに合った方法でサービスを利用するとよいでしょう。
ただし、現物があれば、リサイクルショップなどで買い取ってもらえ、お金にしてもらえますが、デジタルの場合はそれができません。また、全てのものがデジタル化されているわけではありませんので、大切なものは手元に置いておくのもエコでしょう。
キャッシュレス化
自粛生活が続く中で、インターネットを利用した買い物が増えたことも一因かと思いますが、加えて2019年10月から2020年6月まで行われていた「キャッシュレスポイント還元事業」や2020年9月からスタートした「マイナポイント」といったキャッシュレス決済を利用することでポイントがもらえる事業が行われたことで、少額でもキャッシュレス決済をする機会が増えてきている方も多いかと思います。
キャッシュレス決済を使うメリットは、支払いがスマートにできる。現金の盗難リスクが減る。利用額に応じてポイントが付与されることです。
JCBが行ったレジ会計の決済速度に関する実証実験結果では、現金が28秒、非接触型(カードを端末にかざして決済)は8秒、クレジットカード12秒、QRコードは17秒が平均の決済時間でした。現金のやりとりが減ることで、手間が省け、時短につながります。
現金を持たないことで、盗難リスクを軽減させることができます。万が一、盗難された場合でも、カードを止め、不正利用されたことを証明することで、不正利用分は支払わずに済み、被害を最小限に抑えることができます。
また、クレジットカードなどキャッシュレスを利用すると、利用金額に応じてポイントが付与されるものがほとんどです。お店のポイントと同時に貯めれば2重にお得です。
Web会議
人と人との接触を極力避けるために、仕事の形態も変わりつつあります。在宅勤務が増え、私自身もそうですが、今まで取材や打ち合わせは対面が当たり前だったものが、電話はもちろんのこと、ZoomやMeet、Teamsといったビデオ会議サービスを使ってのオンラインでの取材が増えました。また、講演やセミナーもオンラインとなり、今までとはまた違ったスタイルで仕事をするようになっています。個人的には人と直接会って話すことはとても好きなので、少々残念な部分もありますが、移動のない仕事は時間とお金の効率化となっています。人と会うにはそれなりに身繕いをしてから出かける必要があり、そのうえ交通費や飲食代もかかります。しかし、オンラインでのお仕事に切り替わったことで、これらの時間や費用がほぼ0となりました。時間が効率化されたことで、家事や他の仕事にも手が回るようになり、時間を有意義に使うことができています。
オンライン化が本格的に進んで、どこにいても仕事ができる環境が整えば、身軽に住居を移動することも可能となるでしょう。
先ほども書きましたが、「もの」は所有からシェアリングなど持たなくても利用できる時代となり、オンライン化と掛け合わせることで、自由なライフスタイルとワークスタイルの選択ができるようになるでしょう。
電子印鑑やWeb(ECO)通帳など
今までは請求書は手書きに印鑑を押したものを郵送することが多かったのですが、電子印鑑を押した画像データや請求書をスキャンしたデータを先方にメールで送るだけで済むようになりました。一部の企業では原本を送付する場合もありますが、ここに来て請求書の電子化が増えてきたと実感しています。これもある意味郵送料やペーパーレスとなりコストや資源の節約になっていると言えますね。
そして最近大手銀行でも積極的に採用してきているのが、紙の通帳を発行せずにアプリやPCなどで入出金を確認できるWeb(ECO)通帳です。銀行によって、紙の通帳を発行する場合には手数料がかかるところもあります。ATM利用手数料など銀行での取引手数料が年々高くなってきていますが、銀行アプリとWeb通帳を使うことで、手数料を安くすることができます。紙の通帳にもメリットはありますが、私自身、社会人になってからの通帳がいくつもあり、なかなか処分できないのが現状です。
自粛生活はデジタル化を加速させてきています。デジタル化の中にはエネエコにつながるアクションはたくさんありますので、仕事や生活に取り入れて活用してみてはいかがでしょうか。