フィンランド環境研究所、バルト海の環境は未だ悪いが改善の兆しもみられると報告

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 フィンランド環境研究所(SYKE)は、バルト海の海洋環境に関する報告書を公表した。それによると、バルト海の環境は未だ多くの面で問題があるが改善の兆しもみられるという。SYKEは、2011〜2016年の海洋環境を、プランクトン、アザラシ、栄養素、有害物質、ごみ、騒音、人間活動の影響などに関する調査情報をもとに分析した。海洋環境は、栄養素、有害物質、ごみなど集水域から流れ出す汚染の影響を受けており、それが海鳥個体数の減少、マスの生存にとっての脅威、生息地劣化を引き起こしているという。  一方、有害物質削減の取組によって最上位捕食者の繁殖率向上などの成果も生まれているという。フィンランド領海は全体的に富栄養化の影響を受けているが、1970年代半ばにピークだったフィンランドからバルト海へのリン流出は減少に転じた。海域による違いもあり、ボスニア湾は富栄養化が少なく、底生動物相の個体数や生息地の状態もフィンランド湾よりも良好だという。この調査では、良好な海洋状態の経済的便益も初めて評価し、最大で年間4億3000万ユーロと推定した。今回の調査結果は2019年に開始予定の海洋戦略の見直しで用いられる。【フィンランド環境研究所】