ムダの少ない買い物をするためには(その1)


消費生活アドバイザー

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 増税を間近に控えて何を買おうか悩んだ方も多かったのではないかと思います。昨年末の12月から1月2月は比較的大型の商品が売れましたが、3月も末になると食料品や日用品の駆け込み需要が予想されます。その理由としては、大型商品は、配送が4月1日以降になるとお店にもよりますが、消費税が8%になる可能性があるからです。
 そして、いろいろな方にお話を伺っていると、高額商品で、買おうかどうか迷っていたところ、この増税で背中を押されたという意見が圧倒的に多かったように思えます。確かに、3万円の商品を購入すると、消費税は5%なら1,500円ですが、8%ですと2,400円と900円の差になり、アルバイトの時給に相当します。これが、仮に30万円のものであれば、9,000円の差ですから、高額商品になればなるほど消費税の負担も大きくなり、購入を決意する理由に十分なるかと思います。しかし増税分のお得だけで決めるだけではなく、良い物を長く使う視点で見つつ、お得な買い方として捉えた方が現実的ではないかと思います。値段だけに囚われていると、「安物買いの銭失い」になってしまいがちです。修理するよりも、新たに買い直した方が安いとなれば、またその繰り返しとなってしまうからです。高いにはそれなりに理由があり、壊れても修理をしながら使い続けることができ、それが結果的には節約であり、エコであると考えることができるのではないかと思います。
 この増税前に家電製品も売れていますが、家電製品など値段交渉ができるものであれば、増税後に購入をしても増税分は値引きされる可能性は十分あります。一般的に家電製品は、6月、10月に新製品が発売されることが多く、これはボーナスでの購入を狙ってのことです。その裏を返せば5月、9月は型落ちが出た頃が値段交渉がしやすい時期であると考えることができます。
 そしてまた、家電は初期ロットよりも、後期ロットの方が一般的には良い製品となっていることが多いと言われています。その理由としては、発売後間もない(初期ロット)の不具合を中期、後期ロットで修正するためです。性能の点に於いても、新型と型落ちで大きく変わるということは、よほどの技術革新が無い限りはないでしょう。また、そういった新しい技術が投入された場合はしばらく価格が高くなる傾向もありますので、例えば4Kテレビは様子見の方も多いかと思います。ただし、海外ブランドの家電製品は高額であり、あまり値下がりもしないので、増税前の購入の方がお得になることがあります。

 では、食品、日用品はどうでしょうか。結論から言えば、どちらもセールで買えないのであれば、それほど焦って買いだめをすることはありません。その理由としては、PB(プライベートブランド)商品の拡充で、価格の安定が計られているためです。増税後もほぼ変わらない価格で購入できることを考えると、それほど多くの在庫をかかえる必要性は見当たりません。そして、増税後にセールをしないかと言えばそういうわけではなく、セールは今後もありますので、自分にとって買いたい価格かどうかを、税込み価格で決めておくと良いでしょう。その理由は、現在は総額表示(税込み表示)と税抜き表示の2種類の価格表示が導入され、税込み表示に慣れている消費者でれば、税込み表示で考えた方が購入しやすいためです。そして、外税表示が認められているのは平成25年10月1日から平成29年3月31日までですから、平成29年4月1日から再び総額表示となるため、基準となる価格がブレないようにするためにも有効な方法だと考えます。
 そして、食材にしても日用品にしても在庫が多くなれば、管理が難しくなり、使い方が雑になってしまいがちです。増税前に購入をするのであれば、「毎日使うもので、PB商品よりも価格が安くなっており、劣化が少ないもの」と基準を決めてみてはいかがでしょうか。

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