ペットボトルは資源の塊?
丸山 晴美
消費生活アドバイザー
前職はコンビニエンスストアの店長をしていた私ですが、初夏のような陽気になると売れるのがチルドの蕎麦や冷やし中華、サラダうどんといった冷たくてのどごしの良い食べ物とペットボトル飲料です。
私自身は、節約(お金と資源)のために、自宅で煮出したお茶をマイボトルに詰めて持ち歩くようにしていますので、それほどペットボトル飲料は買わないのですが、家族はペットボトル飲料をよく飲むので、結構な量のゴミが出ます。
ゴミと言っても、ペットボトルは資源ゴミですから中を濯いで、外のフィルムをはがしてから自治体の分別方法に従って処分をするのが一般的な捨て方だと思います。
そして回収されたペットボトルは、リサイクルされて繊維として自動車の内装材やカーペット、ユニフォームになったり、卵パックや、再度ボトルなどになり、生まれ変わって戻ってきます。また、市町村お呼び事業者による回収率も2011年は、79.6%と高い回収率となっています。これは、米国やデポジット制を導入している欧州の回収率よりも高い数値なのですが、そうしたインセンティブが特段ない日本でどうしてこうなるのか、とても興味深い状況です。
そんな資源の塊のようなペットボトルですが、ペットボトルのデポジット制度を導入している国は、ドイツを始め、オーストリア、スイスなど20カ国以上に上ります。
デポジットとは「保証金」や「預かり金」とも言われ、日本ではビール瓶を酒屋さんに持って行くと1本につき5円お金が戻る、あれのことです。もともとビール瓶には5円の瓶代が含まれているのですが、返却することでお金が戻ってくるために、利用者からの瓶の回収率が高くなるという効果を狙った制度です。こうした瓶のデポジット制度はビール瓶だけではなく、一升瓶やウイスキーの瓶などでも採用されています。瓶の場合は洗浄して再び飲料を入れて販売されるので、エコと言えばエコですが、やはり軽くて持ち運びが便利なペットボトルに押されているのが実情です。
時々日本でも、ペットボトルをデポジット制にしてみてはどうかといった案が出ることがあります。現在デポジット制の代表格と言われているビール瓶の回収率は、ビール酒造組合によると95%以上とされています。とはいえ、ビール瓶は居酒屋といった飲食店での販売が主であったり、一般宅でも酒屋さんが配達・回収する仕組みができていることを考えると、回収率が高いのも分かります。仮に日本でもペットボトルがデポジット制になったら、更なる高い回収率が望めるとは思いますが、こうしたビール瓶のような仕組みの整備の必要性やそのためにかかるコストを考えると、そう簡単なことではなさそうです。
デポジット制ではありませんが、ペットボトルの回収で消費者にとって少しお得になるサービスを取り入れている事業者もあります。関東202店舗のイトーヨーカドーやヨークマートなどのペットボトル回収期設置の店舗では、ペットボトル1本につき2RP(リサイクルポイント)がもらえ、500RP貯めるとnanaco注1)ポイント50ポイントと交換できるサービスをしています。
注1) nanacoとはセブン&アイグループの電子マネーの名称です
そしてゴミとして分別して捨ててしまいがちなペットボトルのキャップですが、実はこれも大切な資源です。大手スーパーのイオンでは、ペットボトルキャップを回収してその売却金を寄付する活動を行っています。
個人的には、リサイクルできるからと、それを免罪符としてそもそものペットボトルの利用量を増やすのは少し違うとも思います。もちろん、資源ゴミとしてペットボトル以外でも分別して回収してリサイクルすることは大切なことですが、一番大切なのは、やはりそもそもゴミを出さない「発生抑制」を心がけることが、根本的な解決になるのだと思います。
私自身できるだけお茶を煮出して、家族に飲んでもらい、外出時などは水筒を持参。イオン飲料は粉末を溶かすなどできるだけペットボトルを買わないように心がけたいと思っています。
最近は水筒を持つ人も増えてきていますので、粉末のジュースやお茶の粉のバリエーションが増えれば、更に水筒人口が増えるのではないかと思っています。それに近いのがクラシエから発売されているのスカイウォーターでしょうか。近所に売られていないのですが、取り寄せて試してみたいと思います。