化石賞は「学園祭的イベント」

緊急提言 【提言2】 —COP21:国際交渉・国内対策はどうあるべきかー内コラム(1)


国際環境経済研究所前所長

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※【提言2】はこちらから

 毎年COP関連の報道の一環として「日本が交渉に後ろ向きとして化石賞を受賞」といったニュースが流されるが、この化石賞は国連が公式に主催するものでも、COP参加国が選定しているものでもない。一部の環境NGOが自分たちの主観的判断をもって「批判すべき国」を毎日選定しているイベントであり、いわばNGOによる抗議活動の一環なのである。従って日本が化石賞を受賞することがあっても、全く気にかけるに及ばない。メディアは、特段交渉に進展が見られず報道すべきニュースも少ないCOP交渉の前半に、派手な着ぐるみを着て特定国を叱責する環境NGOの化石賞発表イベントを大きく報道し、喧伝するきらいがあるが、その実相は学園祭のお祭りイベントのようなものであり(実際学園祭の立て看板のようなボードに毎日の受賞国が張り出されるー下の写真参照)、外交交渉を左右するようなものではない。また環境NGOの中には、EUや途上国に近い特定のポジションを取る団体もあり、その価値観に基づいて選考された化石賞を受賞するということは、むしろ受賞国の交渉官たちがしっかりバランスのとれた議論をしている、あるいは、国益を追求して交渉に臨んでいる証左でもある。その意味で、化石賞は、タフな交渉官への「勲章」だとも言えるのである。

図1

写真出典:
http://www.climatenetwork.org/fossil-of-the-day/japan-wins-1stand-only-place-fossil-day-tryingkill-kyoto-protocol

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