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資源循環型産業としての製紙産業(3つのリサイクル)


日本製紙連合会 技術環境部長


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森林のリサイクル

 木を原料としている製紙産業は、木がなければ紙をつくることはできない。だからこそ、製紙産業は国の内外で積極的に植林を行い森を増やしている。日本国内の森林率は66%でほとんど変化がなく、国内ではこれ以上に植林する余地がない。このため、海外での植林を積極的に進めているが、放牧地や潅木地、焼畑後の荒廃地など森林でない土地に新たに植林するケースがほとんどである。これは土地の有効利用、現地の林産業の確立による新たな雇用の創出等、経済的効用をもたらすだけでなく、焼畑による森林破壊の拡大を防ぐ等の効果をもたらすものである。また、若木の生長に伴う光合成は成木に比べ活発であるため、植林を循環して行なうことはCO2の固定を促がすことになる。持続可能な森林経営と生物多様性の確保は、いまや国際的にもほぼ確立された理念になっており、日本を含む主要各国の森林産業と製紙産業は、この理念を地球的規模で遵守するため、相互で情報交換や協力を強化しつつある。
 製紙産業が使用しているリサイクル材は、製材等の残りである端材や林地残材が主であったが、徐々に植林木の比率が上昇する傾向にある。海外植林は、2012年度末で、1990年度に対して401千ha増加(東京都23区の6.5倍)の530千haであり、生育の早いユーカリやアカシアを中心にブラジル、オーストラリア、チリ、ニュージーランド、ベトナム、南アフリカ、中国、ラオス、インドネシアの9ヶ国で行っている。植林面積の拡大は、2000年代半ばくらいまでは順調であったが、①国内の紙生産量が減少して原料調達量が減少したこと、②新たな植林適地の減少や、雨量減少による成長量の低下等の現地の事情で事業撤退等があり植林面積拡大のテンポは若干落ちることとなり、2012年度末で国内外合わせて677千haとなり、当初の目標2012年度までに70万ha植林する目標には残念ながら未達の結果となった。

 国内では、製材残材、林地残材のほか、他の用途に使用が難しい小径目なども積極的に利用している。また、家屋解体材等の古材、虫害材、間伐材等の利用にも努めている。上昇を続けてきた輸入材は、2000年以降、割高になってきたことや製品の需要が低迷していることを受け、国産材へ回帰する傾向も見られるようになってきており、72%目前をピークにして70%台を割り込む水準にまで減少に転ずる傾向が続いている。
 また、製紙業界は違法伐採対策にも積極的に取り組んでいる。世界では、違法伐採が大きな問題となっている。そのため、日本の製紙産業では、違法に伐採された木材を使用しないよう国際的な連携の下、取り組んでおり、適切な森林経営によるものであることを森林認証などで確認するなど、業界全体でこれら違法伐採木を使わないことを宣言し、管理体制を整備している。
 隣国中国の製紙産業が急拡大し、世界的に原料需給のタイト化が続き、エネルギー価格の高騰によりバイオマス資源の争奪戦の様相を呈してきており、植林地の確保が困難になってきた。今後の原料調達に大きな阻害要因になりそうである。
 製紙産業が取組むべき地球温暖化対策としては、将来的にはバイオリファイナリー技術の開発にも努力をしなければならないであろう。その意味では、昨年、ナノセルロースのサンプル提供が各社より一斉に行われ、新技術と製品開発が大いに期待される。セルロース繊維を機械的、化学的手法でナノレベルに解繊した極細繊維(直径100nm以下、長さは直径の100倍以上)で、軽量高強度、高弾性率に加えて熱寸法安定性、酸素などのガスバリア性に優れる等の特徴(鋼鉄と比較して5分の一の軽さで強度は5倍、温度変化に伴う伸縮はガラス以下、高結晶化度のCNFはフィルム化過程で配向、最密充填構造を形成しガスバリア性を発現)を生かして、様々な分野で製品開発の検討が進められている。可視光波長の約1/10と極細で光を散乱しないので透明材料への利用が可能もしくはそれ以上の特性や機能を有するバイオ系ナノ素材として、低炭素社会に向けて基盤材料としての役割が期待されている。



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