同時同量(前編)

現行制度の考え方と問題点


Policy study group for electric power industry reform

印刷用ページ

新電力の役割は30分単位の積分値での需給の一致

 他方、新電力の場合である。図2を参照されたい。電力会社ほどに細かい同時同量を求めるのは、現実的でないので、30分単位の積分値で需要と供給を一致させることを求めている。その上で、最終的に電力会社が赤い線と青い線の間を埋める調整を行う。

図2 新電力による同時同量のイメージ

 調整は次の2種類がある。

1.
30分単位の需要と供給の積分値の差分を調整する(インバランス調整)。
実態として、新電力が積分値とは言え差分をゼロにすることは難しいので、電力会社がその差分の電力量(kWh)を調整する。この差分をインバランスと呼び、調整に使われるkWhの取引価格をインバランス料金と呼ぶ。新電力による供給が不足していれば、電力会社がkWhを販売することになり、供給が余剰であった場合は、余剰分のkWhを電力会社が買い取ることになる。東京電力のインバランス料金を表1に示す。平成24年改定の現行料金は、原発がほとんど停止している前提のものであるが、原発稼働時の水準である平成20年改定の料金も併せて示す。考え方としては、±3%までの差分については、基本的に許容しつつ、それを超える差分の調整については、ペナルティの要素を持たせるということである。ペナルティ性を持たせることによって、新電力にインバランスの発生量を抑制するインセンティブを与え、それによって電力会社がインバランス調整用に用意する電源の量を減らすことが出来れば、系統全体にコスト低減のメリットが及ぶ、という考え方である。

(表1)東京電力のインバランス料金

(円/kWh)

現行料金
(平成24年改定)
左記改定前の
約款単価
新電力の供給が不足 年間最大需要の3%以内 15.02 11.66
同3%超 夏季
その他季
夜間
51.73
45.73
28.04
40.69
35.50
21.62
新電力の供給が余剰 同3%以内 10.48 7.83
同3%超 無償 無償