2013年4月のアーカイブ

  • 2013/04/26

    同時同量(前編)
    現行制度の考え方と問題点

     今回、次回の2回にわたって、託送制度の重要な部分である同時同量制度をとりあげる。この制度は、電力システム専門委員会の議論の結果、現在の制度を大きく見直すことが決まっている。そもそも、現在の同時同量制度は、電力会社と新電力がそれぞれ異なった役割を分担する、という整理になっているように、中立でない制度であるから、送配電部門の中立性強化のために発送電分離をするのであれば、必然的に中立な制度に見直さざるを得ない。 続きを読む

  • 2013/04/25

    電力システム改革専門委員会で置き去りにされた議論

     電力システム改革専門委員会は、1年余りにわたる議論を反映した報告書を2月に作成し、終結した。この報告書の内容に関しては、賛否両論、様々な評価が与えられているようで、議論に参加させていただいた私のもとにも、各方面からいろんな意見や感想が届けられている。そこで、私がこの委員会においてどのような主張を行ったかを紹介させていただき、その内容が妥当だったかどうかを読者の皆様に再検証していただきたいと思う。 続きを読む

  • 2013/04/24

    日本発のISO規格“鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法”発行される
    (2)欧州排出権取引(EU-ETS)の影と温暖化対策への貢献

     ISOにおける新しい規格の検討は、分野別に設置されたTC(専門委員会)とその傘下のSC(分科委員会)で行われる。それぞれ幹事国が決まっているが、700強ある幹事国の内、約5割を欧州、2割を北米が占め、アジア・オセアニアすべてを合わせても3割程度であり、漸減傾向にはあるが、まだまだ欧州がISO活動の中心である。また、環境マネジメントに関してはTC 207(環境管理)が設置されており、その分科委員会であるSC7(GHGマネジメント及び関連活動)から、2006年に欧州の考え方を色濃く反映した、組織におけるGHG排出量の定量・報告・検証を規定するISO 14064が発行されている。 続きを読む

  • 2013/04/23

    日本発のISO規格“鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法”発行される
    (1)ISO初の生産プロセスCO2排出強度算定手法

     日本鉄鋼連盟が2009年に国際標準化機構(ISO)へ規格化を提案した「鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法」が、本年3月15日に、「ISO 14404」として発行された。筆者は、規格化のためにISOに設置されたワーキンググループの一員として、規格化にかかわってきた。生産プロセスのCO2効率指標の具体的計算方法を記述したISO規格の策定は、鉄鋼はもとより全産業においてもISOで初めてであり、また、地球温暖化関連のISO規格としては、日本発は極めて稀である。 続きを読む

  • 2013/04/22

    その手は桑名の焼き蛤

     ちょっと前になるが、本年2月、欧州委員会気候行動総局と気候変動問題について議論する機会があり、その際に印象に残ったことをいくつか記しておきたい。

     一言で言えば、欧州委員会はEU排出量取引制度(EU-ETS)の維持に躍起になっている。

     かつてEU-ETSは温暖化対策の「先進事例」として日本国内でも大いにこれを持ち上げる議論があった。 続きを読む

  • 2013/04/19

    エコノミスト誌が報じた温暖化の「停滞」

    エネルギー研究機関GEPR(グローバルエネルギー・ポリシーリサーチ)からの転載。)

    CO2激増の一方、気温は予想より上昇せず

    3月30日、世界中で購読されるエコノミスト誌が地球温暖化問題についての衝撃的な事実を報じた。(記事「注意すべき問題」(原題:A sensitive matter))。

    この15年間、世界のCO2排出量は激増しているものの、地球表面の平均気温が上昇していないというのだ。実は英国気象庁も同様の発表をしており、昨年12月24日に、2020年までの温暖化進展に関する見通しを大幅に下方修正する見通しを発表した。 続きを読む

  • 2013/04/19

    EU-ETSで重大な否決

    BBC(2013/4/17)から抜粋

     4月16日、欧州議会は、悩めるEU排出権取引を救う提案を否決した。
     これは、“Backloading”と呼ばれる提案で、排出権のだぶつきによる価格低下を是正するため、市場から9億㌧の排出権を2年間引き上げる、というもの。エネルギー関連企業は強く支持をし、一方、産業側は、排出権価格の低迷はここ数年の経済停滞を反映したもので、EU-ETSが機能しているということだ、として強く反対していた。 続きを読む

  • 2013/04/18

    まだない未来?
    ~ジュネーブ・モーターショーから垣間見えたもの~

     来る4月21日から、国際見本市として格上げされている上海モーターショーが開催されるが、それに先立ち、3月7日から筆者の滞在するジュネーブにて開催された100年以上の歴史を誇るモーターショー注1)を振り返りつつ雑感を述べたい。

     3月8日付日経BPネット注2)では「高性能車よりエコカー?販売不振が続く欧州で自動車ショー開幕」との見出しでジュネーブ・モーターショーを紹介している。しかし、実際に自分自身も現場へ数回足を運び(自動車に関しては素人で一般人的な感覚で)率直に言えば違和感のある見出しと感じた。(全体の様子は写真1)。 続きを読む

  • 2013/04/17

    英国のエネルギー政策は On Track なのか?

     今年の英国はとても寒い。特に今春の寒さは異常で3月末でも各地で零下3度を記録した。昨年の今頃は21度と暑いくらいでアイスクリームがよく売れたのと対照的である。

     寒波のため、ガス需要は例年の20%増を記録しており、英国のガス備蓄が底を尽きつつある。3月20日過ぎには備蓄能力の10%程度、2日分程度まで低下した。英国は、ガス輸出国であったため、ガス供給安全保障への備えが弱く、備蓄能力は15日分しかない。 続きを読む

  • 2013/04/16

    望ましい電力供給構造

    (はじめに)

     エネルギーの供給に際しては、安定供給、環境調和、経済性の所謂3Eの達成が重要であるが、電力分野において3Eの実現を図るためには、適切な発電設備の構成と運用(望ましい電力供給構造の構築)を図ることが必要である。 続きを読む

  • 2013/04/15

    電力自由化が向かう先は総括原価主義?

     先月、英国政府の方から温暖化問題への取り組みと電力システム改革の現状についてお話をお伺いし、意見交換を行う機会があった。電力システム改革専門委員会の伊藤元重先生と松村敏弘先生も一緒に出席されていた。
     1990年に電力市場を自由化した英国では、老朽化が進む石炭火力設備が廃止された後供給力不足により停電も想定される事態になっている。電力事業者が発電設備を新設すれば良いだけの話だが、自由化された市場では新設を行うかどうかは事業収益次第になる。 続きを読む

  • 2013/04/15

    風力とシェールガスが電力危機の引き金を引くテキサスのアイロニー
    筆者:西村 陽 (神戸大学経営学部非常勤講師)

    ウェッジ社運営ウェブマガジン(WEDGE Infinity)からの転載。)

    電力市場の規模が全米トップで、かつ天然ガスや風力発電・太陽光発電といったエネルギー資源にも極めて恵まれたテキサス州で、深刻な電力危機が近づいていることはあまり知られていない。輪番停電を経験するほど電力需給が逼迫しているのに、一方で戸建住宅向けに「ナイトフリー(夜間無料)」というメニューが存在するという不思議な事態に陥っている。 続きを読む

  • 2013/04/12

    化石燃料資源がごみくずに?

     3月8日のIEA主催の気候変動に関するワークショップの議論について報告したところだが、その際に聞いた興味深い話をもう1つ。

     それは「2度目標を守るためには、大規模なCCSの導入が無い限り、世界の化石燃料資源の3分の2は商業化できない」という議論である。2012年版のIEA「世界エネルギー展望」(World Energy Outlook:WEO)では以下のような説明が展開されている。 続きを読む

  • 2013/04/10

    電力供給を支える現場力③
    -東北電力 原町火力発電所復旧の奇跡-

    <震災後2年の原町火力発電所を訪れる>

     東北電力株式会社原町火力発電所を訪れたのは、奇しくも東日本大震災からちょうど2年経った3月12日であった。前泊した仙台市から車で約2時間。車窓から見て取れるのはわずかではあるが、津波の爪痕が残る家屋や稲作を始められない田んぼなど、震災からの復興がまだ道半ばであることが感じられ、申し訳なさとやるせなさに襲われる。 続きを読む

  • 2013/04/09

    ドイツで自由化による電気料金引き下げは観察できるか

     以前、本研究会の論考の一つとして取り上げた八田達夫著「電力システム改革をどう進めるか」の書評について、今般、著者御本人から丁寧なご指摘をいただいた。指摘の内容は、著作の中で「ドイツで自由化による電気料金引き下げは観察できるか」について説明している部分について、引用が不適切で著者の本来の主張と異なる解釈に基づいた論評となっているとのことであり、国際環境経済研究所の判断で当該書評は削除されている。著者には深くお詫びを申し上げる。 続きを読む

  • 2013/04/09

    メタンハイドレートの試掘に成功
    メガソーラーのためにFIT 制度を適用する必要性は完全に無くなった

     3月12 日、愛知県の渥美半島沖の海底で、「燃える氷」と呼ばれる「メタンハイドレート」からメタンガスを取り出すことに世界で初めて成功したことが報じられた。翌13 日の朝日新聞の朝刊にも、待望の「国産燃料」に大きな期待が膨らんだとして、この国産エネルギー資源の開発技術の概要が紹介されていた。 続きを読む

  • 2013/04/08

    温暖化交渉にプラグマティズムを

     3月8日、パリのIEA本部でRedrawing the Energy Climate Map と題するワークショップにパネリストとして参加した。IEAは毎年、世界エネルギー展望(World Energy Outlook)を発刊しているが、世界のエネルギー情勢の展望と、国連気候変動交渉やMEF(主要経済国フォーラム)で目指している「2度目標」との相互関係について論ずることがここ数年のプラクティスになっている。昨年秋に発刊されたWEO2012の気候変動に関する主要メッセージは以下のとおりである。 続きを読む

  • 2013/04/05

    マイクログリッドの普及

     米国で再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上に熱心な州としてカリフォルニア州が日本では紹介されることが多い。ところが、ニューヨーク州もこれに劣らず積極的なエネルギー政策を策定して目標達成に取り組んでいる。同州のスマートグリッド・コンソーシアムが出した2013年白書にも記載されているが、ニューヨーク州のエネルギー政策目標として、2015年までにクリーンな再生可能エネルギーからの電力比率を30%にする、エネルギー消費を15%削減する、二酸化炭素排出量を10%落とす、ことが掲げられている。 続きを読む

  • 2013/04/04

    お知らせ

     弊研究所のホームページに掲載された電力改革研究会「電力システム改革論を斬る!理論経済学者が語る電力システム改革八田達夫『電力システム改革をどう進めるか』(既に削除済)について、同書の著者より、

    「この書評における私の本の内容に対する批判は、間違った引用に基づくものなので削除をお願いします。その詳しい理由については下記の私のブログにおいて説明しております。八田達夫 ブログ『国際環境経済研究所の責任を問う』」 続きを読む

  • 2013/04/03

    ブラッセルフォーラムで考えたこと(2)

     ブラッセルフォーラム続き。今回は「米国のエネルギー自立とそのグローバルな影響」について紹介したい。同セッションで興味深かったのはファティ・ビロルIEAチーフエコノミストの発言である。そのポイントは以下の通り。

    米国は5年前、発電構成の5割が石炭だったが、現在では 続きを読む
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