ハリケーン・サンディによる米国東部大規模停電が問いかけたもの

-停電と電力システム論に関する日米比較-


Policy study group for electric power industry reform

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2.停電からの復旧

 サンディによる影響で、ニュージャージー州では11月13日、ニューヨーク州は11月26日まで停電地域が残った。停電からの復旧に約2週間から1ヶ月を要したことになる。このためエジソン電気協会(私営電力会社が作る協会)はウェブ上に「ストームセンター」を開設し、電力各社の停電状況や復旧の進捗を集約、リアルタイムでの情報公開を行うなどの対応に追われた。また同協会によれば、停電復旧には全米(カリフォルニア州など西海岸やハワイからも参加)やカナダの電力会社80社67,000人に及ぶ作業員が応援に駆けつけ、まさに業界をあげての復旧が行われた。ちなみに昨年3月11日の東日本大震災後に生じた停電からの首都圏の完全な復旧は3月18日とほぼ1週間であった(さらに震災によって生じた約1000万kWの需給ギャップから、延べ10日間、7000万軒の輪番停電が行われたが3月28日に終了した)。

図3. 倒木により倒壊した配電設備の復旧にあたる作業員(コン・エジソン社)

 コン・エジソン社の発表によると、同社供給エリアの停電復旧は図4の推移の通りに進んだ。1週間を経過してなお約1割の停電が残っていたことがわかる※2

※2)東日本大震災では首都圏で3月11日の震災直後に405万軒の停電が生じたが、翌日には60万軒まで減少し、震災から2日経過した時点で、ほぼ1割まで停電範囲が縮小した。

図4.コン・エジソン社における停電復旧の推移
(出典)コン・エジソン社説明資料
図5.エジソン電気協会が説明する停電復旧のステップ

 エジソン電気協会はホームページで停電復旧のステップを掲載し、需要家に電気がつくまで待つように呼びかけた(図5)。図5で説明されているように、①発電設備、②送電設備、③変電所、④社会的に重要なインフラ、⑤配電線によるエリアの復旧、⑥個別需要家の順番に復旧が行われるが、途中でネットワークに混雑が発生して再度事故が起きないように、これらの復旧作業は協調して行われる必要がある(ネットワークの復旧が不十分なまま、発電所や需要の復旧を行うと、ネットワークの送電容量をオーバーして再び設備が停止するため)。