核燃料サイクル対策へのアプローチ


国際環境経済研究所前所長

印刷用ページ

第一のアプローチ「技術面に着目した再検討」

 第一のアプローチは、例えば次のような見直しが可能ではないか、再検討することである。高レベル放射性廃棄物の処分方法は、現在世界的に地層処分が最善と見なされている。しかし、これまでの非管理型処分方法の検討の歴史の中では、宇宙処分、海洋底処分、氷床処分が検討されてきている。

 こうした技術的選択肢について、最近の技術の進展を踏まえてそのメリット・デメリットを白地から再評価することは、結果的には地層処分以外の選択肢が棄却されることになるとしても、いまや原子力問題についての関心が大きく高まった国民の間で、やはり地層処分が必要かつ最善の方法なのだとの共通認識を醸成するという意義があるだろう。

 その点、英国で行われた放射性廃棄物管理委員会(CoRWM 監督官庁である当時の環境・食糧・農村地域省が設置した独立の委員会組織)による高レベル放射性廃棄物処分プログラムの具体的制度検討プロセスでは同様の再評価が行われているが、こうした事例を参考にすることは有用だ。

 また、核燃料サイクル、特に高速増殖炉については、その政策的位置づけが諸状況の変化に応じて変遷してきている。もともとは、エネルギー自給率向上によるエネルギー安全保障のために、「増殖」に焦点を当てた意義を強調し、そのためには相当のコストをかけてでも基礎から研究開発すべき炉として考えられてきた。そのため、開発を担当したのも旧科学技術庁及びその研究機関であり、事業者は従の役割しか果たしていなかった。

 1990年代後半に始まった電力自由化議論や旧ソ連の核兵器からの回収プルトニウムによる供給過剰を背景として、それまでより「経済性」に重点が置かれた結果、高速増殖炉も、下記の引用にある如く、軽水炉その他の電源と競争することを目標とすることが明示されたのである。その時点で、ナトリウム事故のために稼働していなかった原型炉「もんじゅ」の役割は一層曖昧化したが、この時点でも開発主体には大きな変化はなかったし、開発継続の意思決定がなされている。

 しかし、この時点に戻ってみれば、経済性を重視する事業者や経済産業省が開発主体をテイクオーバーし、炉も「もんじゅ」やその延長線上の型にこだわらず、すべてのオプションをオープンに評価することは可能だったのではないだろうか。今後に高速増殖炉を実用化まで研究開発を継続するのであれば、事業主体の変更や実証炉・商業炉の炉型選択について再検討することも有意義である。その文脈で、現状の高速増殖炉サイクル実用化研究開発(通称FaCTプロジェクト)の進め方も、時間軸や体制を見直す必要がある。

 以下「原子力開発利用長期計画」(2000年策定)より引用:

 高速増殖炉サイクル技術の研究開発に当たっても、その実用化段階において、安全性の一層の追求と併せて軽水炉や他電源と比肩し得る経済性を達成するという究極の目標を設定しておくことが重要である。また、研究開発に当たっては、幅広い選択肢を検討し、柔軟に取り組む。技術的に核兵器拡散につながり難い選択肢を開発する。

 『もんじゅ』については、発電プラントとしての信頼性の実証とその運転経験を通じたナトリウム取扱技術の確立という「もんじゅ」の所期の目的を達成することは他の選択肢との比較評価のベースとなるから、同目的の達成にまず優先して取り組むことが特に重要である。このため、早期の運転再開を目指す。