放射性廃棄物・原子力・放射線の対話型情報提供の取組み

「放射性廃棄物リスクコミュニケーション広場」


国際環境経済研究所主席研究員

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 このような関心を反映してか、原子力発電やエネルギーに関する書き込みも多い。
特に、今夏はエネルギー政策に関する国民的議論が行なわれたこともあり、本題の高レベル放射性廃棄物よりも、原子力利用や再生可能エネルギーに関する書き込みを数多くいただいた。再生可能エネルギーを増やして脱原発を進めるべきという主張が目立ったが、逆に、地域経済や雇用を考えれば原子力は必要だという意見もみられた。
 運営事務局としては、一方の意見に傾倒するわけではなく、原子力を容認する意見に対しては安全性や放射性廃棄物をどう考えるかと問いかける一方、再生可能エネルギーで脱原発を求める意見に対しては供給安定性やコスト負担等を指摘するなど、双方にとっておそらく不愉快な返事を書き続けている。このようなプロセスによって、原子力の安全性、エネルギー安全保障、地球温暖化問題、経済的影響など、すべてを満たす解はないことが認識され、主張の異なる方どうしの対話の素地となればと思う。

 さらに、放射線のリスクについての対話からは、リスクを説明する側が注意すべき点を学ぶことができる。先日、100mSv以下ではリスクの増加がみられないといった話題が出た際、「原発で9年間働いて約50mSvを被ばくし、白血病で亡くなった労働者が存在する。100mSv以下でもリスクがあるではないか。」「確率的な説明は冷たい」といった書き込みがあった。このようなやりとりの中から専門家とは異なる考え方の枠組みや、受容しがたいポイントなどが見えてくる。ぜひ、専門家や関係者の方にも見ていただきたいところである。

 このサイトはユーザー名(仮名可)とメールアドレス(インスタント可)でユーザー登録し、ログインすれば、誰もが匿名性を保ちながらフラットな立場で参加できる。
 サイト名にある「リスクコミュニケーション」の建前からすれば、行政や事業者、市民団体等もそれぞれの立場でご参加いただきたい気持ちもあるが、立場が自由な発言を阻害する面もあると承知している。まずは一個人としてでも対話に参加いただき、さまざまな意見に触れていただくとともに、事務局では不足しがちな専門知の供給や情報提供などをいただければ幸甚である。

放射性廃棄物リスクコミュニケーション広場
http://www.ho-hi.com (放―廃.comと覚えてください)

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