「この国のかたち」を見据えた エネルギー・環境の長期ビジョンの構築を


国際環境経済研究所理事長


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 今夏、政府のエネルギー・環境会議が2030年に向けたエネルギーミックスと地球温暖化対策について、中央環境審議会や資源エネルギー調査会等の検討を踏まえ、選択肢を提示することになっている。原発、風力・太陽光等の再生エネルギー、石炭・天然ガス等の火力発電のエネルギーミックスのあり方、地球温暖化防止に向けたCO2削減策について、いくつかの選択案が示される。

 環境(Ecology)、エネルギーセキュリティー(Energy security)、経済活動(Economy)の3つのEを調和させることが大切であるが、2030年に向けて、「この国のかたちをどういうするのか」の視点が重要である。

 市民に聞けば、「地球温暖化は避けなければならない。原発は止めたい。だけど、エネルギーコストの負担はいやだ」という意見がでる。しかし、「パイを食べたが金を払うのは嫌だ」と言うわけには行かない。

 二大政党がマニュフェストを選挙公約に掲げ政権交代が行なわれたが、ねじれ国会で政権党が公約通りの政策を貫徹することは難しい。責任政権としては「この国のかたち」を考え、将来世代も考えた現実的な政策を取らざるを得ない。民主主義とは、意見の対立を「頭を叩き割って」決着するのではなく、「頭数を数える」ことで解決する仕組みであり、妥協は決して悪いことではない。

 中国等の新興国との競争が激化するなか、20年にもわたりGDP成長がなく、世界の一割国家の座を滑り落ちたわが国をどうしたいのか。少子高齢化により社会保障負担が増大するなかで、財政を健全化させつつ、必要な政策を実現していかねばならない。成長を可能とする「この国のかたち」を見据えた議論が必要である。

 「製造業が海外移転すればCO2が削減できる」とか、「再生エネルギーだけでエネルギーはまかなえる」「再生エネルギー等のグリーン成長で産業成長は可能だ」と言った極論ではなく、世界状況も睨んだ現実政治を期待する。

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