奥平総一郎・日本自動車工業会環境委員長に聞く[前編]

東日本大震災をバネに、災害に強い体制を構築したい


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授

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今夏の節電要請への対応と問題点

――今夏の電力の供給不足について、関連会社を含め、自工会会員会社に休日を木・金にシフトしてもらったお陰で、だいたい原発1基分、150万kWくらいの設備の容量が動いたに等しく、中部電力は助かったという話を聞いています。しかし、インパクトとして生産活動に対する影響等をどう感じていますか。

奥平:今回、早い段階で電力不足になるだろうということで、自工会として休日シフトしようと決めて対応しました。各社の節電努力と合わせて大きな節電効果はありましたが、社会的に地域にいろいろ問題がありました。特に、学校に小さいお子さんを通わせているお母さんは一番困られたのではないかと思います。仕入れ先はもちろん、交通ダイヤの見直しや地域行事の変更など、地域の皆様方にもいろいろとご迷惑をおかけいたしました。

 今回の措置は、節電効果はありますが、今の社会環境のなかでは問題があるということを考えると相当慎重でなくてはならないし、できれば今後は避けたいというのが我々の考えです。

――結局、今夏、産業での電力は足りたではないかと私自身も言われることが多々ありました。しかし、それが特に自動車業界が相当苦労された結果としてできたことに、国民のなかであまり理解されていないように感じています。社会への影響、生産活動への影響、また従業員への影響など、いろいろあったと思いますが、どういう点が難しかったと思われますか。

奥平:そうですね、休日をシフトしたことで木金と土日の両方働かないといけない会社の方々がいらっしゃいました。自動車関係は木曜日と金曜日を休みにしましたが、自動車関係以外のところに納めなければならない部品を作っている会社は休みがなくなり、交替で休まれるところもありました。

 また何よりも、学校が土日休みになっていますから、家族の休日が合わないということで、あまり声には出ていないと思われますが、インパクトが大きかったと思います。