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地球規模のCO2削減に向けて実効あるMRV(測定・報告・検証)を


国際環境経済研究所主席研究員


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 2010年に開かれた第16回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)では、前年のCOP15で成立したコペンハーゲン合意が前向きな形で息を吹き返したと言われている。そのコペンハーゲン合意に基づいて、各国は2010年初めに、二酸化炭素(CO2)の排出抑制目標を国連に提出した。こうした数値目標などから、主要5カ国について、2020年の1人当たりCO2排出量を試算した(下の図)。

 まず、米国は国連に提出した2020年の目標通り17%削減したとしても、1人当たり排出量は依然として高い。一方、2009年に米国を抜いて世界一のCO2排出国となったとされる中国は、2005年時点では、1人当たり排出量は先進各国よりも明らかに少なかった。しかし、2020年になると様相は一変する。中国の目標はGDP(国内総生産)比であり、経済発展により排出量は増える。今回の試算の結果では、1人当たり排出量は2005年の1.7倍となり、米国の約半分、日本やEU(欧州連合)をわずかではあるが超えるレベルになる可能性が高いことがわかった。経済成長のスピード次第でCO2排出目標が変化するが、途上国に分類することはさすがに難しい。

 中国の健全な経済発展が歓迎すべきものであることは言うまでもない。しかし、その過程で、日本をはじめとする先進各国が開発し、実用化してきた省エネ技術が最大限に取り込まれなくてはならない。もちろん、中国の独自技術も開発されるであろう。その状況が広く公表され、先進国はもとより、後に続く途上国に共有されることが極めて重要である。コペンハーゲン合意で示された、達成状況を国際的に相互検証するMRV(測定/報告/検証)が COP16では正式に決定された。世界共通に評価できる手法で、包括的な実績と技術に関する詳細な報告が行われることが、地球規模のCO2削減取り組みに不可欠である。

2020年には、1人当たりCO2排出量でも中国が日欧を上回る。なお、今回の試算には以下のデータを用いた。
・米国、日本、EU27の2005年のCO2排出量は、IEA CO2 EMISSTIONS FROM FUEL COMBUSTION(2010 Edition)
・米国、日本、EU27の2020年のCO2排出量は、排出実績に各国目標の削減率を乗じて算出。
・中国、インドのCO2は排出量は、RITE「世界各国の中期目標の分析」(平成21年12月8日)
・人口は、国連「World Population Prospects: The 2008 Revision」

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